「リトルマーメイド」 を初めて見るにあたって、実写→アニメの順で見た人の感想と二つの違い

2024年3月17日

皆さん、こんにちは。アヤノテツヒロです。今回このブログで書いていく作品はディズニーの実写化作品「リトルマーメイド」です!!

まあ、色々と話題のこちらの作品ですが、実はアニメの方を見た記憶は一切ございません

で、実写映画を観てからアニメを見たので、その感想と気になったところとかを備忘録的に書いておこうと思います。はい。

さて、まずはあらすじです↓

美しい歌声をもち、人間の世界に憧れている人魚アリエル。掟によって禁じられているにも関わらず、ある日彼女は人間の世界に近づき、嵐に遭った王子エリックを救う。この運命の出会いによって、人間の世界に飛び出したいというアリエルの思いは、もはや抑えきれなくなる。そんな彼女に海の魔女アースラが近づき、恐ろしい取引を申し出る。それは、3日間だけ人間の姿になれる代わりに、世界で最も美しい声をアースラに差し出すことだった…。

公式サイトより引用

というお話です。

で、早速感想を書いていきます。ここからはすぐさまネタバレありの感想しか書きませんのでよろしくお願いします。

「リトルマーメイド」 感想:いや普通に面白いというか安心して見れる

結論を言えばこんな感じです。ディズニー映画でプリンセスが出る映画で、こういう感じなら、辿る物語としてはなんやかんやで王子様と結ばれるし、悪者を倒す(もしくは改心させたり)するし、父親とも和解してハッピーエンドになるだろうと、基本的には想像がつくわけですよ。むしろそこまでの過程がどうなるのか、そこに至るまで、どんなキャラクターたちがアンサンブルしていくのか、どう盛り上げてくれるのかを楽しむのが正解かなと個人的には思いながら見ておりました。

で、キャストがどうとか色々物議を醸してることなんて置いておいて素直に観に行きました。いや、面白いよ!普通に!!という感じでした。

ハリー・ベイリー演じるアリエル。確かにアニメとは印象が違うし、原作とも言えるアニメ版を再現していない気持ちも分かる。(自分も好きなアニメを実写化するならビジュアル面でも完全再現に近くしてほしいと思うし)そこを差し置いても彼女の魅力が発揮された素晴らしいアリエルだったと個人的には思う。優雅に泳ぐ人魚のシーンや歌い上げる際の表情、エリックとの一時で魅せる笑顔など魅力的に感じる場面も多くて素直に良かったと思いました。

まあ、これに関してはアニメ版などへの慣れ親しみ度合いがあるので、各々の意見があってもしかるべきだと思います。ディズニーのポリコレだとかその問題にまで踏み込もうとは思っておりませんので…。

で、ここからはそれ以外の面で気になったところ。実写とアニメの違いについてストーリーに沿いながら書いておこうと思います。

「リトルマーメイド」 実写とアニメの違い①:人魚という存在と人間世界について

オープニング。エリックの乗る船の船員たちが海を泳ぐ生物たちに対し、攻撃をしている。人魚という存在は男を誘惑し、海へと引きずり込む忌み嫌われる存在で、退治しなければと躍起になっている様子。迷信に惑わされるなとエリックは彼らを止める。人魚と思い攻撃していたのはイルカだったようだ。

お子さんたちも見るであろう「リトルマーメイド」でいきなり大の男たちが人魚かもしれない生き物に攻撃を仕掛けているという場面から始まる実写作品。

アニメでは人魚の存在が語られるもここまででは嫌われる存在では無かったはず。ちなみに人魚が忌み嫌われているからと言ってこの後の展開に何か影響したような展開は無かった。大事なのでもう一度言おう。この設定が物語に影響することは無かった。

ちなみに人魚がそういう恐ろしい存在であるように語られるのは他の映画でもあり、ディズニー作品だと「パイレーツオブカリビアン:生命の泉」でもそのような描写がある。ちなみにこの作品の監督も本作の監督もロブ・マーシャルであり、彼にとっては人魚はそういう存在なのかもしれない。

ここからは人魚の世界の物語へと向かう。彩り豊かな海の世界の見せ方はお見事だし、トリトン王を演じるハビエル・バルデムの貫禄はさすがだった。アニメではコンサートとなっていたが、実写は娘たちとの集会となっていた。

また、セバスチャンがかなりリアルよりなのでそこに違和感を覚える人もいただろう。これに関しては自分も最初はビックリしたが見ていくと慣れていったので大した問題ではないかなと。娘たちはアニメよりも多様な人種となっており、七つの海のプリンセスということで良い改変だと思った。(それゆえにアリエルのビジュアル面も…という意見も分かるが

アリエルがフランダーと沈没船を探索するのはアニメ通り。サメに襲われるシークエンスも再現されており、実写映画では鏡を利用してサメを退けるなどアリエルの利発さが伺える。スカットルの性別の変更はどこでも語られていないので不明だが、アリエルの傍にいるのが男ばかりなのを避けるためだったのかもしれない。

アースラがアリエルを監視しているのも変わらず。トリトン王との兄妹設定はアニメ版では語られていない。

また、アリエルの母親が人間に殺された設定はアニメ:リトルマーメイドⅢで語られたとのこと。アニメ版一作目だけ見てた場合、ビックリする事実が飛び出してくる

トリトンが人間たちへの恨みや危機感を強く持っていることやアリエルへの過干渉を気にしているのは同じだが、そこまでの強い想いや人間たちが抱いてしまっている偏見を見ていると、守る為にはやむを得ないようにも見えてくるし、今回の一件だけでそこまで改心出来るのか??とも思えてくる。まあ、これに関してはそうならなくてはハッピーエンドにならないので難しいところだが。

アリエルの想い、エリックという人間の行動を見て、トリトン王が変わったこと自体は良いことなのでそこは置いておこう。

トリトン王に海から出ないように言われ、落ち込み、隠れ家にて「パート・オブ・ユア・ワールド」を歌い上げるのは変わらず。エリックの船で行われているパーティをアリエルが覗いていること、犬のマックスが出てくるのも変わらず。

アニメではスカットル相手にエリックがハンサムと語っているので分かりやすいが、実写だとエリックに惹かれた要素があんまり見えてこない。あくまでも個人的には。画面的に暗くて表情が見ずらいところもあるし、エリックが婚約について前向きというより、外の世界を見てみたいと語っている場面に惹かれたのだと思うが、それにしてもである。

マックスを助けに船に戻る、エリックを助けるアリエルという展開も変わらないし、ここからは大きな違いはないだろう。エリックがアリエルの唄だけを覚えているのも同じだろう。ここからはしばらくアニメ通りなので割愛しても良い。アリエルの力強い歌はやはり素晴らしいので注目である。

「リトルマーメイド」 実写とアニメの違い②:アリエルが地上に向かう

アリエルが恋焦がれている描写は少なくなっており、他の姉妹やトリトン王との絡みも減っているが、セバスチャンの「アンダー・ザ・シー」は変わらず。(アリエルが歌ったらダメだろというツッコミもあったとか

セバスチャンからエリックとのことがバレてしまうのは変わらずだが、トリトン王は実写の方が威厳があり、厳しいイメージである。(アニメだとアリエルの恋の相手が誰かとワクワクしてたりするし)

トリトン王がアリエルの隠れ家を破壊するのは変わらないが、実写でもアニメでも思ったことだが、アリエルがアースラに誘惑されてしまう危険性は考えなかったのだろうか?アニメではアリエル自身も知っていた存在なので警戒しても良かったのにと思ってしまったりもした。

アースラを演じたメリッサ・マッカーシーの存在感はお見事だった。アリエルをたぶらかし、誘惑していく様は流石だし、彼女の根城の怪しげな雰囲気のビジュアルも素晴らしい。ちなみにアースラの魔法に変更点もあり、アリエルがキスのことを忘れる魔法をかけている。

アリエルが人間になって、海面へ浮上する様の再現もお見事。船に拾われる展開や保護される展開も違う。エリックとアリエルの出会いも変わっており、アリエルは遭難して声が出なくなったと解釈された。この方がリアルというか展開としては素直に受け止められる(アニメでは出会うまでが急展開に思えるし)

また、大きなキャストとしてはエリックの母親である女王が登場する。彼女はエリックの義理の母親であり、エリックを外の世界へと行かせないようにしているトリトン王と対になる存在であり、アリエルとエリックが同じ想いを抱いていることを強調する存在となっている。(彼女が黒人の女王でエリックが養子というのもポリコレ批判にあっているとか

エリックと意気投合するのもその外界への想いやコレクションをしていることなど、お互いに美しいとか、ハンサムとかで惹かれあったように見えないように配慮が見られる。魚料理にセバスチャンが巻き込まれる展開はオールカット。アリエルの話ではないので必要がないのも当然か。エリックの傍にいるグリムズビーが2人を結ばせようとナイスな采配をしてくれるのは変わらないが、よりナイスな手を打ってくれてるように見えるのが素晴らしい。

馬車で散策に出かけるのは変わらないし、馬車を激しく運転するのも変わらない。小舟でロマンティックな雰囲気になるようにセバスチャンたちが手を打つのも同じ展開だ。散策する場所が全く同じ再現とはなっていないが、より色んな文化に触れるアリエルというのが垣間見える。アリエルの名前を当てるのがアニメだとセバスチャンが告げるのが何故かエリックに聞こえるという展開になっているが、実写では星の名前から導き出すというよりロマンティックっぽい感じにアレンジしている。キス直前にアースラの邪魔が入る、アースラがアリエルの声を使って変装し、エリックに近づくのも同じ展開だ。その変装した姿、バネッサに心惹かれてしまう描写も薄めになっている。

「リトルマーメイド」 実写とアニメの違い③:クライマックスに向けてアリエルの闘い

アリエルにエリックが結婚式を行うのを伝えるのはスカットルなのは変わらないが、ここで「スカットル・スクープ」という新曲が使われている。アースラがエリックを騙しているのは変わらないが、実写の方ではエリックが抵抗しようとする素振りを見せていたり、婚約パーティが船上から城の庭園となっている。これに関してはアリエルがそこに追いつく展開が実写だと難しいからだろう。正体を見破るのはスカットルなのは変わらず。動物たちがアースラを威嚇するのも変わらない。アニメだとその妨害が壮大すぎる(笑)ネックレスが割れて声を取り戻す、キスの直前に人魚に戻ってしまう、トリトン王がアリエルのために力を失う、エリックがアリエルを助けに向かう、アースラが巨大化するなどは変わらず。

変更点としては、アースラに止めを刺す役割がエリックからアリエルへと変更されている。アリエルがただ守られる存在ではなく、立ち向かっていくヒロイン像として、さらに言えば自分の取った行動に責任を取るようにアースラを討っているとも言える。その後アニメ版ではすぐにトリトン王がアリエルを人間にしているが、ここでは一度2人は住む世界が違うということで離れている。最終的な結末は同じだが、アリエルとエリックを通して、二つの世界にあった分断を取り払おうとする見守ってきた者たちの変化が見られるので必要なシークエンスだっただろう。

アニメでは結婚パーティが船上?で行われ、そこにトリトン王や人魚たちが集うようになっていたが、実写では結婚式後にアリエルとエリックが外界に向けて旅立つ、そこを見送る人魚たちと人間たちという、これまた二つの世界が結ばれたということを見せる場面となっており、これも良い演出だと感じた。


キャストの問題が先行しがちな実写「リトルマーメイド」だが、アニメ版の突飛なコメディ要素や無茶すぎる展開を上手く排除し、アリエルとエリックがお互いに惹かれあう動機や同じ片親の庇護と変化を描いたりするなど良い変更も多く、個人的には実写映画は好きだなと感じました。(ツッコミ処は少なからずあるが)

映画「リトルマーメイド」は絶賛公開中。皆さんもぜひご覧ください。