映画 「Cloud クラウド」 ネタバレあり感想:予想外の展開と数々の恐怖
皆さん、こんにちは。アヤノテツヒロです。今回は 映画 「Cloud」 です。
監督:黒沢清
キャスト:菅田将暉、古川琴音、窪田正孝 他
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「Cloud クラウド」 ネタバレあり感想①:不穏な雰囲気と恐怖
とにかくこの映画は人間が怖い、理解出来ない行動や展開の数々、これをなんだこれ?と思ってしまうのも当然だ。しかし、このありえない、理解出来ないことこそ恐怖なのではないだろうか?
物語の冒頭から始めていこう。
まずは前半の吉井について。
吉井という男は工場から医療機器を安く買い叩き、それを高値で転売する転売ヤーであることが見えるが、ここでの吉井はハッキリ何を考えているのか分からない。
粛々と転売に励み、勤めていた工場での昇進の話を蹴り、なんならそこの仕事を辞めてしまい、転売を教わった先輩の誘いにも乗らない。
彼はどうなりたいのか全く見えてこないのだ。先輩や彼女とも話しているのだが、どこか無機質で感情が伴っていないようにも見えるところが怖い。
転売のことしか考えておらず思考停止しているのか、儲かったことで調子に乗ったのかも分からない。吉井という人間が見えてこないのが怖いのだ。
吉井の彼女である秋子、彼女もまた見えてこない。吉井が好きなのだろうか?という感じで2人で語る今後の暮らしもどこか現実感もなく空虚なものを語っているようにしか見えないのだ。
また、先輩の村岡との会話シーンはどこかのインタビューでも話していたが機械同士の会話に見えるほどに焦点があってないような感じがして不気味なのが恐ろしい。
暗く淡々とした菅田将暉と窪田正孝の古川琴音、3人ともどこか感情が伴っていないような、特に菅田将暉演じる吉井の心此処にあらずのような、不気味で淡々として何を思っているのか、なんのために生きているのかも分からないような前半の不気味かつ不穏な状況で恐ろしいと思った。
「Cloud クラウド」 ネタバレあり感想②:襲撃される恐怖と集団恐怖
中盤、ここから吉井は次第にバラまいてしまった悪意の暴走から危険な目に合うのだがこの広がりも怖い。
掲示板に書き込まれる写真や個人情報、それを見て制裁しに行こうぜ!と集まる関係のある人と無い人たち、それぞれ武装して完全に殺る気なのにバラバラで統一感もないのに集団として吉井に襲って来る。
これもまた人間の狂気と怖ろしさを描いている。
特に吉井の上司だった滝本、管理職になれと吉井に訴えかけるところに始まり、深夜の訪問、そして何故か上下2連の猟銃を持って吉井の前に再び現れ、しかも自分の家族を殺しているというまるで理解出来ない状態でやって来るのも恐ろしく、これまた理解不能の怖さを発揮していた。
悪意に毒されたように暴走しながら吉井を襲撃する関係のある人と遠い関係の人、なにもかもごちゃ混ぜになった奴らの襲撃が恐ろしい。
ここからになって来ると読めない分からない恐怖に加え、理解できない展開と登場人物の存在に得体の知れないという怖さも増えていく。
「Cloud クラウド」 ネタバレあり感想③:超展開から繰り広げられる銃撃戦
吉井を助けに駆けつける佐野くん。転売ヤーの吉井の助手として数日間?程度バイトをし、嫌がらせの犯人を見つける有能さを見せながらも禁じられていたパソコンに勝手に触り、もっと役に立ちたいと言いつつもクビになった村の青年だったが、吉井のピンチになると彼の真の姿が顔を出す。
佐野くんと繋がりのある組織の男(松重豊)から銃とGPS装置を受け取り、吉井の下へ駆けつける佐野くん。彼もまた謎が多いし、なぜそこまで吉井を慕うのかもこちらとしてはサッパリ分からないし、得体の知れない存在というだけなら一番怖い存在かもしれない。(ベビわるの世界の人だろ君は?)
彼のキレキレなアクションはとてもカッコ良いので見どころの一つだろう。
佐野くんから渡された拳銃を初めはビクビクしながら持って、一発襲撃犯を撃ったらショックを受けていたのに次第に打ちまくれるようになれる吉井。これもまた恐ろしい。
あんなに命を奪うことに抵抗があったような素振りを見せていたのに、どんどん精度も躊躇いも無くなっていくあたり人間の慣れの怖さが垣間見える。
最後に金を求めてきた彼女も、また、全てが終わった後にも真っ先に転売の売れ行きを気にするのも恐ろしい。それも含めて、とにかく人間の醜さと恐ろしさを感じる映画でございました
と同時に、佐野くん登場からの超展開はもはや笑うしかない状況でなんなんだこれは!!?と思ったが、そこも楽しんで観れたら勝ちなのだとも思った。
では、今回はここで!
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