映画「あの頃。」を見て感じること
うーん、いや間違いなく良い映画です。好きです。ただ、思っていたのとは違ったんです…
あの頃。
監督:今泉力哉
キャスト:松坂桃李、仲野太賀、山中崇、若葉竜也 他
音楽で生きていきたい劔は好きなはずのバンドの練習も上手くいかずにさえないバイトの日々を過ごしていた。
そんなある日に松浦亜弥に出会ったことから、彼女を推す中での新たな出会いと友情、変化を鮮やかに描く。
恐らく多くの人が、アイドルであったり、俳優であったり、ミュージシャンであったり、推しというものがいたと思う。(その程度に個人差はあれど)
自分にも推す存在(まあここで詳しくは語らないが)が今でもいるし、昔も推していた存在もいた。
そんな日々を懐かしく思うまさに"あの頃"を思い出させる映画であり、今を愛おしく思える映画でもある。
ハロヲタな松坂桃李の推しにかける姿や推しを語る時早口になったりしちゃう様、そして時折顔を見せる不安げな表情なども良いし、他のメンバーとのワチャワチャとした関係性、その遅れてきた青春の日々の鮮やかさ、キーパーソンと言える小泉を演じた、仲野太賀の口が悪くて金にうるさくうざったいのに憎めないあの存在感!ホントに最高だと思う。
「すばらしき世界」でも彼の入り込みっぷりが好きだったがこちらも素晴らしい!
全体的に彼らがまさに生きているのだと、その熱量を強く感じることが出来たのは流石だなと思いました。
男同士のわちゃわちゃした感じと言い、それでいて「オイオイ…」みたいな酷いこともするんだけど、笑って許せてしまうようなそんな彼らが愛おしく思えてきます。
この部分だけでも最高ですし、後半小泉が病に侵されていく中でも、相変わらずの小泉、そしてそんな小泉を励ますメンバーたちと変わりゆく時代の中でも変わらない関係性、そして蘇る「あの頃」・・・そんな展開も愛おしく気持ちがいいです。
良いんですよ。間違いなく。
ただ、後半具体的には石川梨華卒業コンサートあたりから、小泉の話になるばかりで「オタク」という部分に関しての描写が全くと言っていいほどないんですよ。
松浦亜弥のコンサートに一人で行ったあたりから感じてた将来への不安だったり、ハロプロ以外にも大事なことー例えば家族であったり、将来であったり、夢であったり、結婚であったりーという時に「推し」という存在、そこで生まれた友人たちとどう過ごすのかという部分を観たかったのに、セリフ一言で片付けられてしまった印象で・・・
少なくとも、彼らの関係性に大きな変化は無いようですし(東京と大阪という物理的距離はありますが)集まる会を開いてもいるのでそこも問題はないのでしょう
でも、その推しにかける圧倒的な熱量、メンバーとの日々、自分の折り合いをつけた部分、そこを全く描かなかったのはいささか残念だなと正直思いました。
彼らの友情や小泉の存在感はとても良いのですが、期待していた部分、オタクという部分を後半バッサリと切ってしまったのがどこか寂しくてやるせなかった・・・そんな気分なんですよ。
ただ、この作品って原作があるなと気づきまして、即買って読んでみましたら・・・
概ね、原作通りでしたね~
原作は元々劔さんの自伝的エピソードで、ショートストーリーを集めたエッセイ集であり、ちょっとハードというか過激なエピソードであったり、人物を削りつつ、映画は上手く纏まっていたなと思いました。
でも、結局自分が観たいと思っていたのとは違うという感じは拭えなく…
ま、そこで思ったのが映画を色々見ていると時々出会うこのお題
「観た映画が思っていたのと違った時」問題なんです。
今、映画に興味を持つ方法は色々とあります。公式サイトに予告編、フライヤー、CM、口コミサイト、こういったブログ…それらを目にして「これ面白そう!」という判断から映画を観に行くと思います。
そんな中で映画を見て、時折こういうことありませんかと「あれ?この映画思ってたのと違う・・・」
これに関しては、良い裏切りの時もありますし、悪い裏切りもあります。
良い裏切りだと「思ってたのと違うけど面白い!」に始まり、「思ってたより感動した!」だったり「思ってたのとは違うけど、良い映画だった」などがありますね。
片や悪い裏切り(大半は予告編詐欺とかで起こる現象)は「思ってたのと違いすぎる」とか「思ってたよりアクション少ないしつまらない」「予告編だけで見せ場終わってるやん」などなど
今回の「あの頃。」は個人的には半々と言ったところでしょうか?
期待していたとは違う展開なんだけど、普通に面白いと思った反面、期待していた通りの展開が無くて少々残念かなぁなんて思ってしまったりしている・・・複雑ですねぇ~
皆さんもこういう映画体験、ありませんか?ぜひ教えていただきたいです。
このブログをたまたま見つけた方、良い裏切り、悪い裏切り体験をぜひコメント欄へ!
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