映画「アナザーラウンド」 ネタバレあり感想:男と友と酒と人生
皆さん、こんにちは!今回このブログで取り上げるのは 映画「アナザーラウンド」 です。
映画「アナザーラウンド」 概要
監督:トマス・ヴィンターベア
キャスト:マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、マグナス・ミラン 他
あらすじ:教師のマーティン(マッツ)は冴えない日々を送っていた。授業は生徒たちになめられ、家庭もどこか冷え切っている。そんなある日、同僚の誕生日会でこんな話題が持ち上がる「血中のアルコール濃度が0.05%を保つと人生が豊かになる」という話だ。マーティンが実践してみたことをきっかけに同僚3人も実行し始めるが…
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映画「アナザーラウンド」 感想:酒と人生の悲喜交々
実に興味深い映画でしたね~
予告編である程度見せているので展開はある程度分かってはいるのですが、お酒がエスカレートしていく彼らの行方をハラハラしながら見守っていました。
冒頭の若者たちがお酒を飲んではしゃぐ姿がフッと消えて始まるオープニング、グイっと引き付けられましたし、その後のマーティンが行う授業の冷めきったというか面白みの全くない感じといい、奥さんや子供たちとの関係の冷たい感じが、表情、ライティング、そしてBGM無しというのでアリアリと描かれていました。
他の同僚たちもそんな人生の停滞と言うのか陰りを見せていくんですが、その中でも集まれる4人の関係性がステキでしたね~
マッツ・ミケルセンは個人的には「カジノロワイヤル」や「ドクター・ストレンジ」といった悪役のイメージが強かったのでこういう普通の人で見るのが新鮮だったりしました(笑)
アルコールを摂取しての日常生活、少しだけテンションが上がって、明るくなったり発言や行動にハリが出ているように見えて、生徒たちとの関係も良くなっていきます…。全体的に画面も明るくなったように見えますし、学校の場面は全体的に明るく描かれているし、家庭はアルコール摂取後も少し明るくなったようで暗い部分もあるように見えました。これは後々の展開に繋げるように意識してたのかなとも思いました。
アルコール摂取が加速してしまい、次第に暴走し始めるのは予告からも予期されていましたが、マーティンの奥さんへの暴力的すぎる態度やセリフは最低でしたね…
また、ここからネタバレ注意の箇所になります。
同僚のトミーはアルコールから抜け出せず、酔ったまま船に乗り転落、帰らぬ人となります。その時に行われていたのは学生たちの卒業試験の結果発表。
生徒たちの卒業という明るい旅立ちとトミーの悲しすぎる旅立ちがリンクするのが切ないと感じました。
全体的にはアルコールを摂取して人生が明るくなっていく彼らの姿に笑い、いつか悲劇が起きるのではないかとそれをハラハラと見守りながら彼らが辿る顛末が気になって引き付けられました。
お酒を飲みすぎないようにと伝える映画、飲んでも飲まれるな映画として「ハングオーバー」とも重なりますが、この映画は人生の映画だと感じました。
元々は0.05%のアルコールをきっかけに人生が変わるかどうかのお話、つまり0.05%というほんのわずかなきっかけで人生は良くも悪くも変わるということ、何かに依存しすぎたりやり過ぎるのは良くないこと、人生に起きる様々な喜び、悲しみ、出会い、別れ…時に苦しくてもそれでも生きることは愛おしくて素晴らしいものであること、そんなことをこの映画は優しく伝えてくれるように感じました。
そのメッセージは劇中のキルゲゴールという学者の言葉に、劇中で流れる歌にほんのりと込められており、最後にマーティンが見せるダンスも含めて、人生を祝福してくれる。そんな素敵な映画でした。
ちなみに監督の娘さんが映画の撮影開始直後に交通事故でお亡くなりになったそうです…そんな背景も含めて考えると、最後に悲劇を乗り越えて生きようとする姿はまたよりグッときますよね。
いかがでしょうか?映画「アナザーラウンド」はとても素敵な映画だったと思いました。
コロナ禍でなかなかお酒を飲んで騒ぐことは出来ないけど、映画の中だけでも雰囲気を味わうのは良いと思いますし、またいつかこんな風に騒げる日が来ると良いですね!
飲みすぎはもちろんダメですけど(笑)
では、今回はこのへんで
他の作品に関してはこちら(アヤノテツヒロ)やこちら(ミドリユカリ)から
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