「キングスマン ファーストエージェント」 ネタバレあり感想:キングスマンの始まりと再定義
皆さん、こんにちは。アヤノテツヒロと申します。今回このブログで取り上げるのは 「キングスマン ファーストエージェント」 です。
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「キングスマン ファーストエージェント」 概要
監督:マシュー·ヴォーン
キャスト:レイフ·ファインズ、ジェマ·アータートン、リズ·エヴァンス 他
公式サイトはこちら
「キングスマン ファーストエージェント」感想①:スパイ映画よりも戦争映画
この映画はキングスマンの始まりの物語であり、第一次世界大戦を背景に、なぜ国家に属さない諜報機関が生まれたのかを描いています。
時代背景的にも、創設期ということも含めて、前2作のようなガジェットはほぼないです。
モチロン、スパイ映画的な要素が全くないわけではありません。使用人たちが情報収集のためポットなどに隠しカメラや盗聴器を仕込んでいたり、敵組織が政府の中枢に忍び込んでいたりと確実にスパイ映画ではあるのです。
ただ、第一次世界大戦下ということもあり、全体的に重苦しい雰囲気や敵の陰謀(または政治家たちの理不尽かつ不条理な決断)により、失われていく命と平和など、前2作のような爽快な展開はかなり少ないです。
特に重たくのしかかるのは、オックスフォード公の息子、コンラッドが赴く戦場のシーンでしょう。
戦場の最前線で戦争の現実、不条理さ、理不尽さをコンラッドが知りながらと必死に生き抜こうと、伝令を届けようとするシークエンスは「1917 命を懸けた伝令」を思わせるようでした。
こういった要素が、前2作よりも全体的にシリアスさを増し、スパイ映画的な要素を上回るほどの戦争映画である印象を持ちました。
なので、第一次世界大戦周辺の歴史を調べておくと登場人物を"こう使ったのか!"となる展開があるかもしれません。
「キングスマン ファーストエージェント」感想②:キングスマンらしさとリンク点
今までのシリーズの中ではもっともシリアスな展開ですが、モチロンキングスマンらしい小気味良いアクションシーンもありましたね。
中盤の見処である怪僧ラスプーチンのダンスを踊るかのようなバトルは音楽の小気味良さも相まって盛り上がるバトルシーンであり、テンポ感も含め、キングスマンらしいバトルという印象を感じました。
また、終盤での黒幕の元で繰り広げられるバトルの数々も見ごたえ満載で、大男とのバトルや黒幕とのサーベル視点を交えたバトルなどカメラワークも含めテンションが上がる展開でしたね。
また、味方サイドだととにかくジェマ·アータートンが演じるポリーがクールでカッコいい!!というのがポイントですね
また、ジャイモン·フンスー演じるショーラの佇まいとサーベル捌きもカッコ良かった…
キングスマン始まりの物語ということもあり、あのテーラーがいかにしてキングスマンというスパイ組織になったのか、なぜアーサー王伝説をコードネームにしているのかも描かれており、その他にも過去作とのリンクする展開が散りばめられていましたね。
2作目に登場した同盟組織、ステイツマンのウイスキーを大統領が求めるシーンがあり、ステイツマンもまた、以前から存在していたことが示されました。
また、オックスフォード公が息子であるコンラッドに語る「ブローグではなくオックスフォード」という言葉は、1作目でエグジーが持っているペンダントに連絡を取る際の合言葉になっていました。
今作で観客に衝撃を与えたシーンと言えば、コンラッドの死でしょう。しかし、この展開は1作目で言及されていました。
ハリーがエグジーにキングスマンについて説明するときこのようなセリフがあります
「第一次世界大戦で多くの跡継ぎが死に多額の遺産が残った。」
これはまさしく本作でのオックスフォード公のことであり、本作はこのセリフをベースに生み出されたとも言えるかもしれません。
「キングスマン ファーストエージェント」感想③:キングスマンとの鏡のような関係
これまでの文章で語ってきましたが、全体的にシリアスで重苦しいという印象も持つ本作ですが、ある意味では第1作目と鏡のような、対の関係になってると感じました。
皆さん、「キングスマン」と言えば何を魅力にあげますか?もしくはどのシーンが最高と思いましたか?
古きよき時代のスパイ映画的なキャラクター?、スパイガジェット?明るめなグロ描写?
ハリーの酒場での圧倒的なアクションシーン?、教会での大乱戦?、ハリーを失ったエグジーの奮起と成長?…などなど様々な要素が皆さんの心をわしづかみにしたのだと思います(自分もめっちゃ大好きです)
この1作目の様々な要素と今回の作品は対になっている関係性がいくつか見られます。
あっさりした処で言えば、ガジェット。前述の通り、今回はスパイガジェット的な要素はかなり少ないです。さらに予告編で登場したサーベルに銃が搭載されている武器は敵の武器でした。
また、キングスマンの名言「manner makes man」は敵の黒幕が言うセリフでしたね。
さらに、若者(エグジー/コンラッド)が秘密の組織の存在を師(ハリー/オックスフォード公)から学び成長する物語(1作目)と思いきや、若者が死にその悲劇を乗り越える話というのもこれまた1作目と対になっていると言えるでしょう。
そして、アクション面、演出面でもそれは同じです。過去作では大勢の敵をバタバタとなぎ倒す、飛び散る鮮血と華麗で豪快なアクションの数々を魅せてくれましたが、今作の戦闘シーンは戦場で流れる血、失われていく命の数々、その一つ一つの行為にのし掛かる命の重み、痛み、苦しみが伝わってくるようなシーンが多く、この点でも過去作とは対になっていると言えるのではないでしょうか?
これについては、始まりの物語であり、第一次世界大戦という背景も含めてそうですが、あえて対にすることで"痛みを伴う作品" であり。キングスマン誕生に隠された痛みそしてその存在意義を再認識する目的があったのではないかと感じました。
どうしても、1作目では爽快に敵を倒していく場面が評価されがちですが(監督もそのエンターテイメント性を重視していたし、ボク自身も大好きです)、キングスマンは本来、若者たちを悲惨な目に合わせることなく、国家に属さず暗躍し平和を守る組織であり、暴力性はあくまでも最終的な手段でしかない。むしろ、その暴力性的なものから離れられるなら離しておきたいような組織であるのでは?ということを感じました。
監督はこの痛みを伴う誕生秘話を通して、本来キングスマンが担う存在意義を今一度再定義して見せたのではないだろうかと感じました。
少々、文章が拙く伝わりづらい処もあったと思いますがいかがでしたか?
これまでとテイストが違う作品のため、好みは分かれるかもしれませんが、キングスマンという存在を改めて知り、理解するのに大切な作品になっていると思います。
ぜひ劇場でご覧ください!
では!今回はこの辺で!
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