”ゴジラ”の中身-トライスター版「GODZILLA」
ゴジラシリーズについての感想記事、「”ゴジラ”の中身」の番外編です。
補足記事なので、注釈みたいな内容です。本筋は本編をお読みください。
「GODZILLA」について
平成シリーズが終了した理由の一つとして、ハリウッドでゴジラが製作されるにあたって、”ゴジラ”の映画が同じ時期に公開されないようにする為、日本では作られなくなったという情報が、ウィキペディアにありました。この作品が次のミレニアムシリーズ製作のきっかけになるので、「GODZILLA」についても少し紹介します。
前述の通りハリウッド版ゴジラは2種類あって、この「GODZILLA」は配給・製作会社のトライスター・ピクチャーズによる1998年の作品です。もう1つは2014年にワーナー・ブラザーズやレジェンダリー・ピクチャーズにより製作された「GODZILLA ゴジラ」。こちらはアメリカでも日本でもヒットし受け入れられ、同製作会社がリメイクしたキングコングと同じ世界観・設定を共有した”モンスター・ヴァース”として、シリーズ化されました。そちらは大人気でシリーズ化、つまりこれから紹介する方は不人気でシリーズ化には至らなかった、という、、、。
というのも、今作は監督を任されたローランド・エメリッヒが、『いい加減な脚本とデザインを出せば向こうから断るだろうと思ったらOKが出た、だからやるしか無かった』といった旨の発言をしていたらしい位、ゴジラへのリスペクトも愛情も無いように見える作品になってしまっているんですね。ゴジラというよりティラノサウルスのようなデザインで、内容も特撮映画というよりパニック映画みたいで、アトラクション的要素も多く、「ジュラシック・パーク」に近い展開でした。
Huluで鑑賞したのですが、そのあらすじ欄には「NYを舞台に、怪獣というより恐竜に近いGODZILLAがマンハッタンを破壊し尽くし、卵も産む。」と書かれていて、若干批判的に見えるのが面白かったです(笑)カタカナではなく英語でGODZILLAだし、「卵も産む」という意外性を強調したような文章が、作品の印象を醸し出していますね。ちなみにその後はちゃんとしたあらすじが書かれていました。
とはいえ、「デイ・アフター・トゥモロー」や「インデペンデンス・デイ」等のディザスター系、パニック系映画を大ヒットさせたエメリッヒ監督なので、一本の映画としてはとても見やすく、楽しめるものとなっているのも確かです。掴みも良く、一旦上陸するとあっという間に都市が破壊され、気づいたらパニックになってて本当にテンポが良いというのが、エメリッヒ映画の面白い所。
クライスラービルが破壊される等、名所が壊されるお決まりは踏襲されていました。水に囲まれ、高層ビルばかりのマンハッタンを舞台にしたのは納得。ヒロインがテレビ局のレポーターで、中盤のスタジアムでのシーンはその設定が効いていて、そういう物語の詰め方も上手いと感じます。理由付けが上手い。タクシーの無線を利用して連絡を取り合う展開も、ニューヨークらしくて味が出ている。トンネルや吊り橋を使った、街の造りを利用した展開も巧妙。やっぱりエメリッヒ作品は非常に整っていると思いました。エメリッヒが「いい加減な脚本を出したらOK出ちゃってやるしかなかった」らしいと書きましたが、それであの整理力なら凄いのでは?と思いました。仕事はした、ということでしょうか。
が、これはゴジラを冠した映画である以上、長年愛されてきたシリーズの型を外し過ぎたら”ゴジラ”の意味が無い。どれだけパニック・アクションとしてクオリティーが高くても、ゴジラたらしめるものが無ければ、ゴジラ映画としては評価できない。
と言いつつ、ゴジラ関係無しに一つの映画として見て面白いのであれば、それで良いとも思っています。
ちなみにアメリカ製なので、誕生する原因となった水爆実験はフランスが行ったという設定です。アメリカ製なのでしゃくれています。流石アメリカ。
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