”ゴジラ”の中身-シンと-1.0
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はじめに
アカデミー賞視覚効果賞受賞でふたたび話題となった「ゴジラ-1.0」。
せっかくなので、これを機にシリーズ全作品を見てみようと思って、そして全部見終わったので最後に「-1.0」を見る事にしました。
ネタバレは少しあります。
出来れば山崎貴過去作もいくつか予習したい。全作鑑賞は「シン・ゴジラ」公開前後あたりから、いつかやってみたいと思っていましたが、やっと触手が伸びました。ボンド映画を一作目から見始めた時も思いましたが、こういう機会でもないと、古い映画ってなかなか優先して見ようと思えないですからね。
これまたせっかくなので、シリーズを通して見て感じたものを残しておくことにしました。つまりこれは殆ど日記です。参考文献とか関連書籍とか、出来れば読みたいのですが、とりあえず日記的に、感覚で捉えたものをまずは書いています。日記です。感想です。
ゴジラシリーズはDVD・Blu-rayの購入やレンタルの他、サブスクではHuluやU-NEXTで視聴できます。
が、「シン・ゴジラ」はサブスクではAmazonプライムで見る事が出来ます。
「ゴジラ-1.0」は2024年7月20日現在、ディスクの購入かAmazonプライムへの加入でのみ見る事が出来ます。他のサブスクでは未配信で、配信レンタルを含めレンタルサービスもまだ行われてはいません。
それ以外の全作もしくは複数作品を鑑賞するのであれば、いつでもどこでも、繰り返し見られるHuluをオススメします。
古い映画に馴染みが無い方は、なるべく画質が良い方がとっつきやすくなると思うのでBlu-rayもいいかもしれません。私はHuluで見ていますが、画質に問題も違和感もなく鑑賞できました。古い007映画を最近見たというのも、すんなり見れた要因かもしれませんが、100年ぐらい前でなければ大抵は見やすい筈です。
▽昭和シリーズについてはコチラ
▽平成シリーズについてはコチラ
▽ミレニアムシリーズについてはコチラ
ゴジラシリーズの流れ
シリーズは全部で30作あります。
1作目から15作目までの、昭和期に作られたいわゆる”昭和シリーズ”。リブートされ主に平成に作られた”平成シリーズ(VSシリーズ)”。主に2000年代に製作された”ミレニアムシリーズ”。そして2010年以降の近年の作品が2作。一般的にはこの四つの時代に区分されています。
この他にもアメリカ製のゴジラが二種類。一つは98年のトライスター・ピクチャーズ配給によるジュラシック・パークこと「GODZILLA」。もう一つはワーナー・ブラザース配給で、「キングコング:髑髏島の巨神」と世界観を共有する”モンスター・バース”シリーズ。こちらは最近の作品で、本国だけでなく日本でも人気のシリーズになりましたね。
あとは独自のストーリーを確立しているアニメシリーズや、デフォルメされたショートアニメなどアニメでもいくつかあります。
「-1.0」の予習なので、この記事では主に日本の実写シリーズに関して書いておきます。
ゴジラシリーズにあったもの
「シン・ゴジラ」「ゴジラ-1.0」を見て気づいたこと①
「シン・ゴジラ」と「ゴジラ -1.0」については、比較的最近の作品ですし、何よりヒットした人気作品なので、説明せずとも大体の人が知っていると思います。知らなくても、大まかなあらすじや雰囲気は何となくわかっている程には認知されていると思います。なので「どんな作品だったか」は、ここで紹介することはあまり無いです。
それでも過去シリーズについて書いてきたのだから、せっかくなので日記として書いておこうと思います。感想を。
それでまず、昭和・平成・ミレニアムと見てきて「シン」も見たあとに、ようやく「-1.0」を鑑賞したんですよ。そこで見ていて気づいたんですが、”これは特撮映画ではなくドラマを見せる映画なんだ”ということを、やっと認識したんです。いやそんなのわかっていたよ!という方が殆どかもしれないし、何より自分で「~FINAL WARS」の紹介文に『特撮映画としては未だにこれが最後』と書いているんですけどね(笑)
ただ日本製の”ゴジラ”であり、1作目から通して見てきたせいで、同じ”特撮”というジャンルで括って見てしまっていたんです。
この”ドラマである”事に上映時間30分位のタイミングで気づいて、一気に冷めてしまいました。冷めたというよりフラットになった。そこまで期待はしていませんでしたが、全作予習していた事もあってそれなりに気分は上がっていた訳で、内容というか見ること自体にテンションが上がっていた、そんな感覚です。でもこれは姿勢の問題であって作品の評価を下げるポイントではないし、それに勝手に冷めたとか言われて映画も可哀そうですよね(?)。ちゃんと楽しみましたし。
そもそも大体の映画は20分経った頃に、事前のあらすじ以上の出来事が起こりますが、今作は30分経ってようやく話が進んだので、その遅さにちょっと驚いたのもあって、フラットに見れました。
そういった構成を感じ取り、これは特撮ではない、ドラマなんだという思考に至るのですが、それならこれからはただの”邦画”を見るのだな、という感覚にもなったんです。
ですので「-1.0」、そして「シン」についても、特撮映画ではなく人間ドラマを描いた作品として評価するべきと思うようになりました。ただ”ゴジラ”作品であるのは確かなので、それも考慮しつつ、過去作とは違う視座を持って見ていきたいと思います。
「シン・ゴジラ」「ゴジラ-1.0」を見て気づいたこと②
まず「シン」ですが、あれは庵野秀明や樋口真嗣らのおかげである種の見応えがありました。”ある種”というのは具体的に表現できないんですが、役職とか自衛隊まわりの名称とか、そういう細かい描写がオタクっぽくて、そのビッシリと詰めた演出が見応えあると感じたのかもしれません。流石、オタク心をわかっている。
見たこと無いものを見た時、見る人の感覚を刺激する素敵な要素、そういう、いわゆるワンダーが詰まった作品だと感じました。
「-1.0」にはそのワンダーが少ないと感じました。放射熱線を吐く時の、背びれが盛り上がっていく様子はそういう視覚的な面白さがありますが、それと海上で戦うというシチュエーションの、その二つぐらいしか無かったです。それ程、人間側のドラマに重きを置いているということなのかもしれません。
あとゴジラの正体があやふや過ぎるのも”ゴジラ”として乗れなかった理由かも。1作目よりも前の時代、敗戦直後の日本という余裕の無い時代設定ゆえに、劇中では科学的な理屈が解明されないのかもしれない。そう思って鑑賞していましたが、やっぱり物足りなさを感じます。
昭和や平成等シリーズの途中ではなく、独立した仕切り直しの作品でもあるし、「今回はこういう設定ですよ」的な描写や理屈はもうちょっと欲しいと思いました。
「ゴジラ-1.0」感想
この流れで書くと「-1.0」を批判的に見ているような流れになってしまいますが、上映時間が1時間経った頃、二幕目の途中ですかね。話が進んでいるようで進んでなくない?と感じたんですね。丁寧に描いているということなんですが。それこそ神木隆之介が出演した昔のCMで、コンビニ店員が商品棚のカップ麺を丁寧に面陳して、その間にレジが混んじゃって慌てて向かう、というものがあったと思います。それも良いけど早く来てほしいな、という感覚でした。
丁寧なのは良いかもしれないけど、あと20分削っても良いと思いました。それこそ今までの特撮ゴジラと同じく、1時間40分程度の上映時間でこの物語を描いていたなら、もう少し前のめりで楽しめたかもしれない。最後の脱出装置の回想シーンは、要らん!と思った。
国の采配や国民への対応、薄情ぶりを批判するセリフが多く、その意味では反戦の姿勢が取られていると思います。しかし同時に、あんな戦争でも役に立ちたかったという若者を描くことで、戦争自体には反対していないようにも感じました。戦争がある時代に、何か良い方向へ導く手伝いがしたいと、善意から積極的になる若者が居たことも忘れず、その存在も汲み取って登場させたんでしょうか。話の展開上、必要なキャラではありますが、終盤の行動に説得力を加える為に、”仲間が批判する国の戦争でも、役に立ちたがる”若者にしたのでしょうか。あのキャラクターのおかげで、『あんな戦争でももし何か出来ていれば、良い結果が出たのではないか』と、戦争に対してたらればの楽観視している目線を感じました。そんな目では見ていないとは思うので、勝手にとやかく書く前にパンフレットとか読んで、意図を確認するべきですね。
でもこれは、あんな時代でも懸命に行動した人達が居て、それを無かった事にしたくないという、作り手の優しさも感じた気がする。かもしれません、多分。戦争に巻き込まれることは仕方なく、そんな中でも味方の役に立つのは美しいという考えかもしれないし、それはそうなのかもしれません。
子供が家に居るだろうに、家で大声出すシーンが多いのも少し気になりました。立花と再会したシーンなんて、夜なのに玄関であんなに叫んで、子供は泣いたりしないのかな、、、とか細かいですね。
CG等の映像表現は本当に素晴らしく、素人から見ても違和感をほぼ感じないレベルで、映画の感想でよく聞く「ゲームみたい」という感じも全くしなかったし、ちゃんと実写の映画を見ている手触りが素敵でした。「ゲームみたい」というのはゲームの画質を下に見る訳でも無く、そういうアトラクション的な手触りではない、ちゃんと実写映画として馴染んでいることを表すための比較です。米アカデミー賞視覚効果賞を受賞したのも大快挙ですし、大ヒットしたとはいえ特殊な事例だった「シン」の次作として、リスクが大きいどころじゃなかった筈ですが、そんな状況下でこの受賞は逆転ホームランですよね。
公開時に劇場で見た訳ではないのもあり、正直アカデミーまで取るとは思っていなかったので、本当に凄いことをやってのけたと思いました。ゴジラが出現するシーンの殆どが日中で、視覚的に見やすい作品であったのも良かったです。大きくなった姿が初めて現れるのが青空の下というのが、画で魅せる意気込みと自信が窺えました。
劇中で使われた童謡の作曲者が古関裕而でしたが、古関裕而といえば「モスラの歌」を作曲した方ですね。
スタッフ・クレジットが流れた時、邦画にありがちな”演者の名前だけ”でなく、ちゃんと役名も表記してくれていたのは感謝です!・・・と思って見ていたら主要人物だけで、下の方の脇役は演者の名前だけでした。
関係ありませんが、「-1.0」を見る前に「X‐MEN」シリーズを見返していたおかげで、主人公・敷島が「X-MEN:アポカリプス」のマグニートーみたいだな、多くを失うな、と思って見ていました。最初から戦っていたキャラと最初に逃げたキャラ、という違いはある。
特撮ゴジラは未だに作られていませんが、邦画ゴジラは現状、”どうやってゴジラを討伐するか”のバリエーションを描くものになっているとも言えますね。
追記(2024/07/26)
書き忘れた感想ですが、これも一応記録しておこうと思ったので書いておきます。
最後はゴジラの一部が映され、復活を予感させる終わり方でしたが、ミレニアムシリーズの「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」を連想しました。多分オマージュだし、色々とそういう小ネタが多いらしいので、注意して見直したり検索してみるのも面白そうですね。
これから見る方には
ゴジラシリーズは、”あの強過ぎる1作目に対してどう応えるか”という、アイディアや思想の積み重ねだと思いました。
平成シリーズはストーリーが一貫していますが、昭和シリーズはどこから見ても楽しめる”こち亀”スタイルなので、気になった怪獣やあらすじから、作品をピックアップするのも良いと思います。古い作品でも、基本は明るい作風ですし、日本の作品なのである程度は親しみやすさもありますし。勿論、平成もミレニアムも近年のも、どこから見ても楽しめます。
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