三幕構成をはじめとした基礎的なことから面白さを見つける方法と、作品をどう捉えたらいいのか、どう伝えればいいのかというプレッシャーを軽減できるかもしれない方法(スマホ向け改訂版)

「ジオストーム」

続いて「ジオストーム」。これもまたディザスターもので、無難に楽しめるのですが、これに関しては吹替もオススメだということ。

ジェラルド・バトラー演じる主人公を上川隆也、その弟役のジム・スターシェスを山本耕史、弟の恋人役であるアビー・コーニッシュをブルゾンちえみが担当。そう聞いて身構えてしまう方もいらっしゃると思うし、それはわかります。とはいえ近年ではそういう方の吹替でも、とても上手く統制されるようになってきていると、感じていました。今作も上手く録られていて、作品のトーンを変えずに緊張感を保っていたと思います。

本業が声優である人が、メインを張った方が良いという意見も、本当に共感できます。作品に合っている事と合わせる事、そして望まれているものを作れるようになっていくのが、まずは第一であってほしいですね。

こちらも大統領のセリフが印象的で、とあるシーンでの『結婚しろ』というセリフもミームになりそうで、ちょっと面白かったです。こういうのがある映画は良い映画。


「トゥモロー・ウォー」

三幕構成がしっかりし過ぎていて、とんでもなく面白くなっている映画が「トゥモロー・ウォー」。これ本当に凄い。

上映時間は138分ですが大体45分毎に物語が区切られていて、幕が変わる度にジャンルも変わっていくような、それでいてストーリーはちゃんと帰結するという、大変出来の良いアトラクション映画だと思います。これがAmazonプライムでしか見られないというのが非常に惜しい、、、!!

こういった変則的な構成の映画もあるんだなと思ったし、”ジャンルもの”の構造が浸透しきったことを逆手に取ったような展開も凄い。

頑固ジジイとの確執、熟練の猛者たち、しぶといエイリアン等々、外せない定番が沢山あって。それに加えて阿鼻叫喚の転送シーンと、その直後の『ふざけんじゃねぇよ』的な転送先も笑える。この作品ならではの印象的なシーンが多いのも、娯楽作品として優秀だと思います。あと”徴兵された人々があまりにも一般人な風貌で頼りないが、だからこそ「ここは俺に任せて先に行け」が見た事ないレベルの格好良さになっている”件も。

ただ要素が多いとそれだけ都合の良い描写も増えてしまい、展開の多さで登場人物の扱いが少し軽くなってしまうなど、大作にありがちな”軽さ”も含んでいるんですよね。それでも「バトルシップ」のようなお祭り映画になると思うし、テレビで放送してくれないかな~~~ってずっっっと思っています。


三幕構成や”目指してるもの”を捉えると

三幕構成や作品の構成・構造なんかは、わかりきった事かもしれないし、今更ですし、何より”鑑賞者から求められているものと作り手が目指しているもの”なんて人からの影響そのままなんですが。でも、そのシンプルな観点から読み解くことで、今まで詰まらないと感じていた作品でも楽しむことが出来るようになった。

本当に基礎的なことですが、おかげで映画を見る上での一種のストレス、プレッシャーみたいなものを、軽減させることが出来ました。読書とかにも応用できそうだし、何より楽しむ幅を広げることが出来たのがうれしいです。

カルチャーに対してプレッシャーみたいなものを感じている人には、そういった視点に移動して見てみるのも良いんじゃないかと、そう思います。

注釈

▽構成

1、いくつかの要素を一つのまとまりのあるものに組み立てること。また、組み立てたもの。「国会は衆議院と参議院とで—されている」「家族—」

2、文芸・音楽・造形芸術などで、表現上の諸要素を独自の手法で組み立てて作品にすること。「番組を—する」

デジタル大辞泉(小学館)

言葉の意味としては上記の通りで、ここでは物語の道筋とか、形作る順序だて、みたいな意味で使っています。

▽構造

1、一つのものを作り上げている部分部分の材料の組み合わせ方。また、そのようにして組み合わせてできたもの。仕組み。「家の—」「体の—」「文章の—」「—上の欠陥」

2、物事を成り立たせている各要素の機能的な関連。また、そのようにして成り立っているものの全体。「汚職の—が明らかになる」「経済の二重—」「社会—」「精神—」

デジタル大辞泉(小学館)

物事を作る仕組み。設計図とか全体図みたいなものですね。ここでは構成より俯瞰したような、作品の基本を形作る骨組みといった感じで使っています。その作品たらしめる独自の要素で作られた骨組み。


※1…いがみ合っていた登場人物たちが、意見の衝突から揉めたり殴り合ったりしてしまうが、一旦落ち着いて焚火を囲み、本音をぶつけて団結していくという、よくあるシーン。実際に焚火を囲むこともあれば、一緒にご飯を食べるとか、景色を眺めるとかそこは何でも良くて、ひとまずキャラクター同士を団結させる為の舞台装置。三宅監督曰くそれが”焚火を囲む”シーンとのこと。

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