”ゴジラ”の中身-昭和シリーズ(スマホ向け改訂版)
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ゴジラ昭和シリーズについて②
冒険活劇としての側面の他、水爆実験によって生まれた経緯を持つ怪獣なので、やっぱり反戦などのメッセージ性も豊富なシリーズなんですよね、ゴジラは。正体不明の存在に対する人々の反応、畏怖、トラウマの再来、人間の手に負えない技術をどう扱うか、というのを常に描いてきました。
5作目「三大怪獣」では、『「我々が助ける理由は何も無い、人間はいつも、我々をいじめているじゃないか」』というゴジラの心情を表したセリフがありますが、怪獣というより害獣のような距離感という感じがしました。この頃には既に、ゴジラも被害者という価値観が共有されているぐらい、アイドルになっている気がします。怪獣への哀れみなど、畏怖の存在から利用価値のある生物へと見方が変わっていくのは、シリーズを通して見ていると興味深い変化でした。
水爆怪獣とも呼ばれたゴジラですが、7作目「エビラ」では、悪人を倒す為に水爆をあっさり起動するなど、意外とアメリカ的発想な面も見られます。しかし同作では奴隷解放のシーンもあって、道徳的な描写もある。
反戦や解放をハッキリ描いているのが、この時代の娯楽らしいと感じました。と言いつつスタンスがちぐはぐな作品もあって、8作目「ゴジラの息子」は、主人公たちが科学の悪用に反発しているわりに、彼らのせいで生態系が破壊されるという内容で、全作品が偉いという訳でもないとも感じました。
昔はこういう、人間の業や負の側面が当たり前に描かれていたんでしょうか。壊された都市にも妙な生々しさがあるし。懐が深いですね。
ゴジラ昭和シリーズについて③
昭和後期は冒頭に主題歌が付く作品もあって、怪獣や放射能など直接的な固有名詞を出す歌詞もあります。「対ヘドラ」は公害への批判・警鐘がストレートで驚きました。
悪党、裏切り、核実験、奴隷、都市の崩壊、両親共働き、公害、機械依存、環境破壊、先住民への侵略、毒親。娯楽の側面だけでなく、何かしら必ず暗部を描いてもいるという、本当に見応えのあるシリーズです。
これから見る方には
ゴジラシリーズは、”あの強過ぎる1作目に対してどう応えるか”という、アイディアや思想の積み重ねだと思いました。
平成シリーズはストーリーが一貫していますが、昭和シリーズはどこから見ても楽しめる”こち亀”スタイルなので、気になった怪獣やあらすじから作品をピックアップするのも良いと思います。古い作品でも、基本は明るい作風ですし、日本の作品なのである程度は親しみやすさがありますし。勿論、平成もどこから見ても楽しめます。
全部じゃなくて数本で構わないという方は、まずは雰囲気を掴むために、1作目「ゴジラ」、6作目「怪獣大戦争」、9作目「怪獣総進撃」、12作目「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」、15作目「メカゴジラの逆襲」あたりの、原点や集大成的立ち位置のものから見てみるのをオススメします。
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