”ゴジラ”の中身-平成シリーズ(スマホ向け改訂版)

2024年8月13日

ゴジラシリーズにあったもの

ゴジラ平成シリーズについて①

平成シリーズは地続きのストーリーが展開されていて、各作品の根底にあるテーマやトーンは一貫したものとなっています。勿論、単体で見ても飛び飛びで見ても楽しめます。毎年恒例のお祭り興業みたいな側面もあったと思うので。

平成1作目「ゴジラ」(1984)は、昭和1作目の内容を踏襲した、言わば初代の続編的作品ではあるんですが、2〜15作目までとは一切関係無い、仕切り直しの新シリーズなんです。初代の出来事があったとしつつ、また新たな世界を物語っていくという感じです。

昭和は色んなパターンのタイトルがありましたが、平成では主に「ゴジラVS〇〇〇」という表記になっていて、ここから「VS(バーサス)シリーズ」と呼ばれていたりもします。

上映時間は大体が1時間40分程度。以前より長い。

人間の都合で生まれた存在に対して、どう責任を取るのか。怪獣だったり兵器だったり、それらをどう扱うのか、どれだけ向き合えるか。という所を通底して描いたシリーズでした。個人の都合だったり、国の威信や経済を優先したり。現実離れしたゴジラという存在に対して、現実的な理由で向き合うキャラも居て、そんな登場人物たちが各作品に緊張感をもたらしています。

「ゴジラ」(1984)

日本の特撮映画、ゴジラ(1984年版)のブルーレイの、パッケージ画像
オープニングクレジットが主要なスタッフとキャストのみで、エンドクレジットが付くような時代に突入。画面もシネスコサイズからビスタサイズに。登場人物に名前と役職のテロップも出て、外国語セリフが字幕。

街の景色や人々が、もう既に"今"。そう感じるほど馴染みのある見た目。

メイクも今までと変わっているだろうけど、コスメ自体の進化が見えるような見えないような感じもしました。

戦術核兵器発射の許可を催促する両国、それらの顔を窺ったり経済破綻を理由に、核を持ち込ませようとする閣僚との会議。今作の白眉と言ってもいい程スリリングなシーン。泣けてくる…。それらを経て、両国トップに訴えかける首相の言葉は、セリフ以上の意味を持ってこちらに響くように感じられます。

住んでいる人々の為、平和や未来の安全の為に、圧力を跳ね除けNOと言う。他国のプレッシャーもある中リスクも承知で、それでも唯一の被爆国としてするべき判断をした人、それもある意味ヒーローだと思うから、ヒーロー映画としての側面もあると思いました。

張り詰めてるな、と思ったタイミングで唐突に出て来る武田鉄矢のおかげで、ちゃんと明るい面白さもあります(笑)

ゴジラバーサススペースゴジラのブルーレイの、パッケージ画像。

平成ゴジラの特徴の一つが、世界観が共通しているというもので、シリーズを通して出演し続けているキャラクターが居たり、再登場するキャラやメカが多いというのがあります。

一番大きな特徴としては平成2作目「ゴジラVSビオランテ」から平成最後まで出続けるシリーズヒロイン、超能力少女の三枝未希。役者も変更されないので、通しで見ると愛着も沸くし、感慨深い気持ちにもなってくるんですよね。その成長と共に、作品のメッセージや価値観の変化を映していくので、まずは平成シリーズだけでも通しで全て見てほしいです。

高嶋政宏がまたしても世界を救ってくれたりしますが、高嶋ファミリーの出演も見所です。

統一されたストーリー性の高さが面白味である一方、そのおかげで緊張感のある作品も多くなっています。娯楽作品というより、罪悪感を伴った害獣駆除みたいな辛さも、多分に含んだシリーズなんですよね。1作目とヘドラ以外の昭和シリーズが好きなファンからすれば、SFアドベンチャー的ドラマが無くて、寂しいと感じるかもしれません。