”ゴジラ”の中身-ミレニアムシリーズ(スマホ向け改訂版)

2024年8月13日

ゴジラ ミレニアムシリーズについて①

ミレニアムシリーズは、昭和シリーズのようにそれぞれが独立した物語のシリーズです。続き物はあるんですが、ミレニアム5作目の「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」の一つだけですし、その作品も単体で見ても充分楽しめる内容となっているので、ミレニアムシリーズは作品数や内容、映像の質感において最も触れやすいシリーズかもしれません。

ミレニアムの区切り方

全体的にシリアスなトーンの作品と、明るい冒険活劇といった雰囲気の作品が、ほぼ交互に展開されていて、連続で見ても飽きないシリーズだと思います。ミレニアムの①~③作目、④+⑤作目、⑥作目、という区切りを頭の片隅に置くと、2000年代のゴジラを俯瞰して見ることが出来るんじゃないかと思いました。

畏怖の存在だったりヒーローだったり、怖いんだけど格好良い。”ゴジラ”は難しい構図を持った作品ですね。

加瀬亮や滝藤賢一など、意外なところで有名な役者を見られるのも楽しかったです。

ゴジラ ミレニアムシリーズについて②

ハリウッドのトライスター版「GODZILLA」公開の為、前作「〜VSデストロイア」でシリーズは終了したのですが、これが日本のファンには不満だった為、それを受けてプロデューサーがすぐに復活を企画したとのこと。こうして二度目の仕切り直しの、第三期にあたる”ミレニアムシリーズ”が開始されました。

ミレニアムシリーズもシネスコサイズで、半分以上がオープニング・クレジットが無いのも特徴です。作品毎に一部違う部分もありますが、ミレニアムゴジラは背びれが大きくて刺々しいのが印象的。

ゴジラ2000 ミレニアムのブルーレイ、そのジャケット。
「ゴジラ2000 ミレニアム」は1999年に製作されたミレニアムシリーズの1作目、通算23作目。

映画が始まってすぐにゴジラが登場して、そこからずっとゴジラを追い続ける展開になっているんですが、映画が始まった時には既に物語が動いているような構成になっていることに驚きました。

SFとしてのリアル志向がここまで強いのも初めてだと思います。インターネットに侵入する怪獣(というかエイリアン)という設定も時代の変化を感じました。2000年代に近づくと街の景色もさることながら、映像の質感も含めて馴染みがあり、更にとっつきやすくなったと思います。

ただリアル志向が強いせいで科学用語も増え、理解しづらい部分も増えたと感じました。あと爆破予定のビルに子供を入れさすなよ!!!とは思いますよね。

ミレニアム2作目「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」。2000年、24作目。『吉沢物理学研究室の末席を汚していた、工藤です』こういうセリフが多い。良いな。

引き続きリアル志向の設定もありつつ、ファンタジー色の強いSFっぽさもあり、ちょっとウルトラマンっぽいかも?と感じる作品でした。前作よりも大衆性を意識した内容になっていて、見やすいと思います。昆虫が沢山出てきますが、、、。

おはスタ、アユ、極楽とんぼ等々、トーンを明るくする要素も見所。避難時でもキレる加藤浩次が面白かったです。

実際、ゴジラが出てくるシーンは殆ど日中なので、画的にも見やすいです。最後は怪獣バトルではなく、人間がゴジラを倒そうとする展開になりますが、ゴジラシリーズとしては公開当時は珍しい展開で、昭和期の娯楽活劇のような面白さがありました。

短いがオープニング・クレジットが付く。

ミレニアムシリーズ前半を締めくくるのは、2001年、25作目の「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」。ここまでの3作ではそれぞれ、平成期のような作風、昭和期っぽい作風、そして原点である1作目のような作風と、各作品で違う雰囲気を楽しめるのがミレニアムの面白さだと思います。

この作品からアニメのハム太郎と併映されるようになりました。

主人公がテレビ局のレポート記者なんですが、怪獣の謎を追っていくミステリー調になっています。なんならホラーっぽい。

水爆怪獣を描いた1作目へのリスペクトが高く、至る所で反戦メッセージが描かれていました。ゴジラから逃げる人、襲われる人、怯える人が沢山映し出されるのも特徴的です。

ちなみにモスラは出てくるけど小美人は登場しません。それらしき二人は出てくるけど、セリフも無ければ小さくも無い、普通の姉妹としてチラッと映るだけでした。

2002年、通算26作目、ミレニアム4作目。

ミレニアム4作目は「ゴジラ×メカゴジラ」で、次の5作目「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」はその続編となっており、世界観や設定を共有したものとなっています。

2003年、通算27作目、ミレニアム5作目。

1作目だけでなく、61年の「モスラ」や66年「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」等の、ゴジラ以外の東宝特撮映画も劇中の史実とされた設定。つまり、他の怪獣も現れた世界となっています。

ミレニアムのメカゴジラは本当に格好良い。空中で切り離して飛行、からの着陸のシークエンスが印象的。その後のタックルも勢いが良過ぎて笑えてくるんですよね(笑)

「~東京SOS」は続編ですが、主人公は釈由美子演じる茜から、金子昇演じる中條に変更されています。東宝特撮の怪獣が出現した世界という設定を拡大し、映画「モスラ」で現れたモスラがふたたび出現するという展開に。そこで登場したキャラや小美人も再登場します。長年の特撮ファンは嬉しいだろうし、昔の作品を見ていなくても、子供の頃もこういうの面白かったです。

引き続きハム太郎との併映によって上映時間も短いですが、そのおかげでテンポも良く、飽きなくサクサク楽しめました。

内容とは関係ありませんが、エンドクレジットの後におまけ映像が見られる、というお楽しみは、この2作で知ったのかもしれないな、とふと思いました。

そして最後は「ゴジラ FINAL WARS」。

挿入歌がまさかのSUM41。昭和シリーズ以来の、外国人のセリフが吹替となる演出。テレビでよく見る洋画の吹替っぽい、テンション高くて面白い言い回しのそれ。

2004年、通算28作目にしてミレニアムシリーズのラスト、そして全てのゴジラシリーズにおいても最終作として制作された一本。

2010年代に入ってから数年おきに新作は作られていますが、着ぐるみやミニチュアを使用した、本格的な特撮映画としては未だにこれが最後となっています。

特撮映画とは言いましたが、人間によるアクションシーンが半分を占めると言っても過言では無い位、アクションが多いです。

マトリックス以降の、カットも動きも早いカンフーアクションは結構良いと思います。しっかり格好良く、上手く撮っていると感じました。ジョン・ウー味がありますよね。

最後の作品なのに作風がこれまでと大きく変わり、ゴジラというよりマトリックスの様なアクション映画になってしまったことで、賛否両論となった今作。

見返してみてもやはり、怪獣が勢揃いする話を成立させることを考えれば、このやり方も納得できます。子供の頃の公開当時も思ったけど、やっぱりアクションシーンは見ていて楽しい。どことなく「MOVIE大戦2010」みたいなお祭り感あって、シリーズ途中の一作と思えば、これはこれで面白いんだけどな。途中であれば、だけど、、、。

ちなみに上映時間はまさかの2時間越え、125分。あとオープニング・クレジットは読みづら過ぎwww

『よく聞け若造。お前が知らない事が地球で二つある。一つはオレ。もう一つは、ゴジラ』
『やっぱりマグロを食ってるようなのはダメだな』