”ゴジラ”の中身-シンと-1.0(スマホ向け改訂版)

2024年8月13日

「ゴジラ-1.0」感想

丁寧さと昔のCM

この流れで書くと「-1.0」を批判的に見ているような流れになってしまいますが、上映時間が1時間経った頃、二幕目の途中ですかね。話が進んでいるようで進んでなくない?と感じたんですね。

丁寧に描いているということなんですが。それこそ神木隆之介が出演した昔のCMで、コンビニ店員が商品棚のカップ麺を丁寧に面陳して、その間にレジが混んじゃって慌てて向かう、というものがあったと思います。それも良いけど早く来てほしいな、という感覚でした。

丁寧なのは良いかもしれないけど、あと20分削っても良いと思いました。それこそ今までの特撮ゴジラと同じく、1時間40分程度の上映時間でこの物語を描いていたなら、もう少し前のめりで楽しめたかもしれない。最後の脱出装置の回想シーンは、要らん!と思った。

批判の矛先、、、

国の采配や国民への対応、薄情ぶりを批判するセリフが多く、その意味では反戦の姿勢が取られていると思います。しかし同時に、あんな戦争でも役に立ちたかったという若者を描くことで、戦争自体には反対していないようにも感じました。

戦争がある時代に、何か良い方向へ導く手伝いがしたいと、善意から積極的になる若者が居たことも忘れず、その存在も汲み取って登場させたんでしょうか。話の展開上、必要なキャラではありますが、終盤の行動に説得力を加える為に、”仲間が批判する国の戦争でも、役に立ちたがる”若者にしたのでしょうか。あのキャラクターのおかげで、『あんな戦争でももし何か出来ていれば、良い結果が出たのではないか』と、戦争に対してたらればの楽観視している目線を感じました。

そんな目では見ていないとは思うので、勝手にとやかく書く前にパンフレットとか読んで、意図を確認するべきですね。

でもこれは、あんな時代でも懸命に行動した人達が居て、それを無かった事にしたくないという、作り手の優しさも感じた気がする。かもしれません、多分。戦争に巻き込まれることは仕方なく、そんな中でも味方の役に立つのは美しいという考えかもしれないし、それはそうなのかもしれません。

子供が家に居るだろうに、家で大声出すシーンが多いのも少し気になりました。立花と再会したシーンなんて、夜なのに玄関であんなに叫んで、子供は泣いたりしないのかな、、、とか細かいですね。


映像表現

CG等の映像表現は本当に素晴らしく、素人から見ても違和感をほぼ感じないレベルで、映画の感想でよく聞く「ゲームみたい」という感じも全くしなかったし、ちゃんと実写の映画を見ている手触りが素敵でした。

「ゲームみたい」というのはゲームの画質を下に見る訳でも無く、そういうアトラクション的な手触りではない、ちゃんと実写映画として馴染んでいることを表すための比較です。

米アカデミー賞視覚効果賞を受賞したのも大快挙ですし、大ヒットしたとはいえ特殊な事例だった「シン」の次作として、リスクが大きいどころじゃなかった筈ですが、そんな状況下でこの受賞は逆転ホームランですよね。

白昼のゴジラ

公開時に劇場で見た訳ではないのもあり、正直アカデミーまで取るとは思っていなかったので、本当に凄いことをやってのけたと思いました。ゴジラが出現するシーンの殆どが日中で、視覚的に見やすい作品であったのも良かったです。大きくなった姿が初めて現れるのが青空の下というのが、画で魅せる意気込みと自信が窺えました。

劇中で使われた童謡の作曲者が古関裕而でしたが、古関裕而といえば「モスラの歌」を作曲した方ですね。

スタッフ・クレジットが流れた時、邦画にありがちな”演者の名前だけ”でなく、ちゃんと役名も表記してくれていたのは感謝です!・・・と思って見ていたら主要人物だけで、下の方の脇役は演者の名前だけでした。


特撮ゴジラは未だに作られていませんが、邦画ゴジラは現状、”どうやってゴジラを討伐するか”のバリエーションを描くものになっているとも言えますね。

追記(2024/07/26)

書き忘れた感想ですが、これも一応記録しておこうと思ったので書いておきます。

最後はゴジラの一部が映され、復活を予感させる終わり方でしたが、ミレニアムシリーズの「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」を連想しました。多分オマージュだし、色々とそういう小ネタが多いらしいので、注意して見直したり検索してみるのも面白そうですね。

これから見る方には

ゴジラシリーズは、”あの強過ぎる1作目に対してどう応えるか”という、アイディアや思想の積み重ねだと思いました。

平成シリーズはストーリーが一貫していますが、昭和シリーズはどこから見ても楽しめる”こち亀”スタイルなので、気になった怪獣やあらすじから、作品をピックアップするのも良いと思います。古い作品でも、基本は明るい作風ですし、日本の作品なのである程度は親しみやすさもありますし。勿論、平成もミレニアムも近年のも、どこから見ても楽しめます。