映画の話をしようぜ(仮) – 簡易レビュー【不定期更新】

2025年2月17日

(仮)映画の話をしようぜ-簡易レビュー

簡易レビュー記事です。

※…はじめに作品の公式サイト等のリンク

①…ストーリーを主軸にした話

②…構成や構造、枠組みや技術についての話

③…感想

(仮)映画の話をしようぜ-簡易レビュー

「ラスト・デイズ」

2013年の映画。主人公が中盤で知るとある事実と、その後の彼の心情がストーリーの推進力となるのは、この”外に出ると死ぬ”シチュエーションと相性の良い展開だと思いました。ラストに踏み出す一歩まで含めて、とても上手い構造となっています。面白かった

丁寧に作り込まれたドラマと構成に加え、"荒廃した世界もの"らしいアクションも多い、良作です。傑作として勧められるような大仰さは無いですが、スペイン製であることも含め、なかなか見ない景色・雰囲気が味わえるので、気に入りました。"外に出ると死んでしまう"という現象は有りそうで無さそうなアイディアで面白い。最近の映画に慣れている人なら、そのアイディアだけがポイントと感じて、楽しみを見つけられないかもしれません。

主人公とエンリケが下水に落っこちるシーンで笑いました。叫び声だけ先行して聞こえて、ゴロゴロゴロ…ドーーーン!って落ちるやつです。

「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」

「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」公式サイト

「There’s no JOKER.」

獄中の受刑者の話ではありますが、2020年の現代の、貧しい人の生活を描く作品にも見えました。思春期のような幼さも感じます。”ジョーカー”の扇動とかじゃない、アーサーの本心を描く作品。意図しない偶像を背負う覚悟が出来ない/しない、優しい人間のこと。

②アーサーを右(上手)から撮るシーンが少ないように感じました。裁判所のシーンでは、陪審員席から彼を撮るショットが多いので、それに合わせて他の場面でもそういう撮り方をしていたのでしょうか。映像的文法といった感じでしょうか。

監督インタビューによると現実の"腐敗"が反映されているとのこと。俯瞰を重ねて見ると、映画全体がショーの様でした。タランティーノ曰く「まるでジョーカーが作ったかのような作品。トッド・フィリップスこそジョーカーだ」という。それはそれで意地悪な気がしなくもないですが(笑)、でも納得できる。

展開という意味で、と言えばいいか分からないけど、想像していた通りの内容でした。もちろん色々と感想を目にしていたことも影響していますが、その頃は全然興味無かったし聞き流していたし、大方の予想と同じ想像でした。しかし終盤の展開は予想外で、映画自体にカタルシスを求めるタイプでも興味を惹かれると思います。オープンエンディングでも無い。どちらかというと前作の方が賛否両論タイプですが、前作があるからこその賛否両論。

不条理コメディの様な演出に、ドラマの『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』を思い出しました。

「トランスフォーマー ビースト覚醒」

「トランスフォーマー ビースト覚醒」公式サイト

ストーリーは平坦な道のりでした。人間側の主人公達の動機がふんわりしていて、とても優しい人なんだと思わないと納得できないほど気軽に、世界を救いに出かけて行きます。おもちゃ原作でアクション映画だし、と思えたら良いけど監督インタビューを読むと子供向けという訳でも無さそう。ならもうちょい重い芯が欲しい。リブート一作目としての入門編のせいか、見た事あるような構図でした。宇宙からラスボスを召喚する装置を破壊しなきゃいけないのは一作目で、外国行ってラストバトルの流れは二作目でも見た、とか。

スピンオフのようで前日譚のようで、でも実質のリブートだったのが2019年の『バンブルビー』。地続きでは無いがそこから設定は引き継いだという事で、今作はその続編。続編でありつつ、更にここから始まる新たな三部作の構成、又はユニバース化の展望もあるらしく、実質の再リブート(二度目の仕切り直し)となった作品です。
という経緯もあり今作は、マイケル・ベイの"ベイ・バース"からは派手な転落等々のアクションを、『バンブルビー』からは”音楽使い"を踏襲した”良いトコ取り”な作品となりました。シリーズファンも新規ファンも獲得出来るバランス。ビーストウォーズファンからすれば、ベイより作風が穏やかになったこのタイミングで、ちゃんと実写化されたというだけでも嬉しいです。

冒頭とクライマックスのCGの大幅な作り直しによって、ビースト達の変形シーンが少なくなってしまったらしく、確かにビーストまわりは物足りないと感じました。ビーストの"変身"は新しさを求められるから難しかった、とのこと。それで1回しか変形しない。チーターが二本脚になって、支えて、人型になって…というのは確かに大変そう。更にアングルが重要とのこと。

プロデューサー曰く「動物ロボットが街中に居るのはおかしい、というか隠れられないので、登場タイミングやシーンは考えた」とのこと。それでペルーに来てから合流となるが、それ以降は出ずっぱりだよ、と。そして今までからのオプティマス達を主役級に据えなきゃいけない事も踏まえると、ここまで本筋に絡めてくれただけありがたいと思います。続編にもビーストは出るだろうが、街中はおかしいので、やっぱりどこで登場させるのかが考え所らしいです(笑)

今回はThe riverの記事を読んだけど、執筆の中谷さんは子供の反応について監督、プロデューサーに聞いていて、その視点が良いなと思いました。ほとんど同年代だろうし。

オプティマスとノアが信頼関係を段々築いていく流れは「ターミネーター2」を意識らしい。なるほど。

博物館でのすったもんだは、90年代コメディ映画っぽさも感じましたが、インタビューによると90年代アクション、「ターミネーター2」や「ジュラシック・パーク」の雰囲気を入れたらしいです。柱の上にアイツが!のシーンは、視点の誘導が映像的文法として上手いと思いました。
エアレイザーかっこよ〜〜〜〜😭
オプティマスが峠を転がり落ちるのはアニメの初代コンボイらしさがあって良いです。1時間19分頃に"焚き火を囲む"シーンです。
そしてヒーロー着地があった、しかもオプティマスも!と思ったらビーまで!まさかのヒーロー着地三段構えは有りそうで無かったので、新鮮に楽しめました。
初代アニメ映画や実写一作目の曲が使われていたけど、何故か『〜最後の騎士王』の劇伴までありました。LLクールJも居たよ!

「子供の頃、ディズニーチャンネルでシャイア(・ラブーフ)の演技を沢山見ていましたから!」。もうそういう世代か〜~~。いや、同世代か?

「夜明けのすべて」-簡易レビュー

「夜明けのすべて」公式サイト

藤沢は、別に山添に恋心を抱いている訳ではなく、単に面倒見が良い人なんだなと感じられるのが良かったです。惚れた腫れたの話じゃない、という。

上映時間25分で主人公それぞれが病院やクリニックに行きます。30分で互いの上司がグリーフケアで会い、キャラが交差してくる。山添が発作、家まで見送り差し入れ、「病気にレベルとかあるんだ…?」という不和、そして42分頃に発作についてのテロップが流れる所までが一幕目。1時間5分頃、それぞれに転機?そして1時間22分頃から三幕目。ナレーション原稿のモノローグ。

プロダクションノートによると、この話には二つの軸がある、と。一つは「働くことについての映画」であることという。働くことも含めて”日常”があまりに自然に描かれているから、”働くこと"というより”日常”映画と思っていました。”働くこと”とは日常という大きな枠に組み込まれている感覚です。

リアルで日常感のある事務所の美術が素晴らしかったです。藤沢の本棚にある本にPMS、HERB、漢方という文字が見えます。職場に花が多いのも、社長の性格が表れていた気がしました。プロダクションノートによると数人のスタッフは『ケイコ 目を澄ませて』から引き続き参加していたりと、常連組のスタッフも居たとのことです。事務所の美術いいなと思っていたけど、『愛がなんだ』をはじめ今泉力哉監督作品を手がけたチームが作ったらしい!日常感ある~~~。髪を切る時、山添は部屋の写真立てを伏せてたと思いますが、一緒に原稿作りする時は立てていたと思います。

二人が会社で原稿について話している最中、ピントは合っていないけど画面奥に映る社長が、いつの間にかこちら側=藤沢と山添の様子を見ていて、ピントが合っていなくとも、微笑ましく見守る人が居るのがわかる演出も良かったですね。

事務所のみんなでプロジェクターで写した映像を試写するシーン。主人公二人が同じポーズでそれを見るのが良かったし、視線が同じ方向を向いているというのは、「見ているもの/世界が同じ」という映像的文法の観点からしても良いですね。でも全く同じという訳じゃなく、それでも分かり合えるというメッセージ性だけど、だからこそ、たまに同じ場所を目指すことが出来るというシーンでもあると感じました。

プラネタリウムが映画オリジナル要素だったと知って驚きました。クライマックスのプラネタリウムでのシーンはどうやって撮ったのか気になりますし、照明チームが色々工夫したらしいです。

今回は事前に決め込み過ぎないようにして撮影に臨んだとのことで、冒頭・終盤のナレーションも撮影中に思いついたらしく、現場で感じたこととか本当に大切に作ったんだな、とか分かるので、プロダクションノートとかパンフレットとか読むの大事ですね。

期待していたのでめちゃ楽しみながら鑑賞。面白かったです。そしてまだ咀嚼しきれていないほど食らった。ストーリーやテーマがそういった、光を掴む様な抽象的な感覚を捉える話でもあるから、すぐに言葉にするのが難しい作品でした。すぐにまとめなくて良い、という意思も感じます。別になんとも言えない結末とかそういうタイプでもない。色々な人が色々な所でちゃんとした言葉で評論してくれているから、それを聞けば良いし、今更自分が何か言う事も無いという気もあるし。

でも『良い映画だった』と確実に言える作品でした。今まで私が出会った"善い人達"の面影が、登場人物たちに薄っすら重なって見える気がしました。出会った人達のモンタージュのよう。

グリーフケアと呼ばれる集会が出てきますが、海外ドラマでよく出てくる、向こうでは"ミーティング"と呼ばれるやつだと思って見ていました。だし、山添が病院に行くのも海ドラの"カウンセリング"です。
すべて良かったけど、一番印象的だったのは山添の自転車シーン、歩道橋みたいな所を曲がっていくところかも。でも労働中の外出時間としては長ぇよ!(笑)

「インデペンデンス・デイ リサージェンス」

やっぱり面白い。

これは鑑賞者から求められているものと作り手が目指すものが違う、というか乖離が大きかったという事ですよね恐らく。ウィル・スミスが出演していなかった事とか、旧ファンのツボを刺激するものが無かったのかもしれません。しかしこの作品も三幕構成はとてもきっちりしているので、上映時間を見て、場面転換を意識するとすんなり頭に入ってくると思います。舞台演劇みたいですね。

同じことをするのではなく、前作から地続きの世界で起こり得ることを、作り手が理論立てて積み重ねていることを踏まえて見ていけば、物語の進行に関してとても誠実に作っていると感じられる筈です。何を求められていて、どう応えようとしているのかをイメージして見ることが出来れば、突飛な演出や予想外の展開にも冷静に対応できると思います。

だからと言って面白くなるかと言われれば別の話だし、人それぞれだとは思いますが、正しく批判するなら必要な視座だとは思います。中盤までの都合の良い展開も、上映時間や製作の事情を鑑みて、そこから納得できるかどうか、ということかもしれない。大雑把な解決法を(力技を)受け入れられるかどうか。
でも、”大統領映画”を色々見る中で今作を見返すと、やっぱり面白い映画だとは思うんだよな~~~。メジャー会社でお金がかかっているからB級映画では無いし、規模の大きさに合ったCGだと思うし、スケールが大きくても群像劇になっていると思うし、楽しむための映画としてちゃんと上手くいっていると思います

『「あなた以外、大統領継承権を持つ者が死にました。あなたが大統領です」と言われて、いきなり宣誓しなきゃいけないシーン』は大好物なので、楽しめました。本に手を置いて、もう片方の手を挙げて復唱するという例のアレですよね(笑)。ビル・プルマンが戦闘機の操縦桿を握りながら「人類を代表して、、、独立記念日おめでとう」と言うのも最高。みんなで見ながらワーって盛り上がるのにうってつけの映画だと思います。

内部リンク

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