【「13デイズ」編】”大統領”に向けられた視線から読み解きたい「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」-新作に向けて”大統領映画”を鑑賞⑦
次作の「キャプテン・アメリカ」では大統領に就任したサディアス・ロス(ハリソン・フォード)が、重要なキャラクターとなることが既に告知されています。新キャップとなったサム・ウィルソン(アンソニー・マッキー)の”サム・キャップ”としての活躍にも期待したいし、アクションシーンを楽しむ映画ではありますが、せっかくなので、”大統領”が大きく関わる映画をこの機会にいくつか見てみることにしました。
ハリウッド映画における”大統領”について、
・大統領は何を目的に何を守ろうとしていたのか
・それに対し、主人公は何の為に何を守ろうとしていたのか
・作り手は大統領をどの角度から描き、どう切り取っていたか
といった視座から注目していきたいと思います。
それと、私はアメリカに住んだことも無ければアメリカ文化の専門家でも何でもないので、国家としての役割とか、実際の国民の考えや反応など、現実的な視点からの解説等は出来ません。ごめんなさい。感想です。
Table of Contents
「13デイズ」
監督:ロジャー・ドナルドソン
主演:ケビン・コスナー
劇場公開:2000年
配給:日本ヘラルド映画
ソ連との冷戦が続く1962年、10月16日。米軍偵察機がキューバでミサイル基地が作られている様子を発見。核戦争が起こっていたかもしれないこの”キューバ危機”をどう乗り越えたか、大統領特別補佐官ケネス・オドネル、ジョン・F・ケネディ大統領、その弟であるロバート司法長官を中心に描いたサスペンス。
大統領/主人公の目的
勿論キューバ危機を乗り越え核戦争を回避することですが、弱腰になるでもなく、侵攻されない為の武力を誇示しつつ、更には好戦的な軍首脳陣を抑え、最善の方法で解決し国民を安心させようと奮闘します。想定外の事態や上手くいかないこともありますが、映画としてカタルシスと安心感をもたらしてくれるエンディングを迎えてくれました。空軍や陸軍トップは、勝利者としてのアメリカを示したいがために先んじて攻撃しようとしますが、その好戦的な部分に嫌悪感を示し、実際の国防総省は協力を拒否したとのことです。
作り手が切り抜きたい”大統領”
まず、この作品も映画=作り物なので、実録劇とはいえフィクションの部分も少なくない。のですが、事実を調べたり当時を想像した時、ストーリーが進むにつれ増していった今作の緊張感を思い出すと、より立体的に歴史を知る一助となります。主人公の役割自体、事実とは結構違うらしいですが、イメージソースとなることも素敵だし、事実は事実としてこの映画を”作品”として評価することも大事だと思いました。
日本人としては、「また真珠湾の不意打ちを食らった気分だ」というセリフからも緊張感が伝わるかもしれません。
技術と美術
92年の映画「JFK」ではケネディ暗殺事件を追う検事を演じたケビン・コスナーが、今度は生前の大統領補佐官を演じる役回りに。そのケネディ大統領を今作で演じるのはブルース・グリーンウッドで、彼は『ペンタゴン・ペーパーズ』ではマクナマラを演じています。実話ベースの作品には、各作品に同一人物が出てきたり、同じ役者さんが居たり、時期が似通っていたり、連続で見ているとややこしくなってきました。でもある意味”実録劇ユニバース”ともとれる。『X-MEN:フューチャー&パスト』では大統領はミュータントでした。
ちなみにブルース・グリーンウッドは『ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記』と『キングスマン:ゴールデン・サークル』でもアメリカ大統領役を演じています。個人的にはドラマ『レジデント 型破りな天才研修医』での外科部長兼CEO役の印象です。だから大統領は外科部長であり病院CEOでありミュータント。
二幕目の”10月23日”、セリフは殆どありませんが、緊急事態が起こる中での市井の人々がちゃんと見られるのは良いと思いました。ある意味一番の当事者を無視せずに描くことが、こういう作品において説得力を持たせる上に、作り手のスタンスも示す、大事な要素です。
二幕目の後半、現状が”DEFCON2”という段階であり戦争状態だと言う大統領に対し、軍のトップが「DEFCON1が”戦争”です」と言い返すシーン。これまで散々、襲撃される前に手を打つべきだとか”争い”に勝つことしか考えてなかったのに、まだ”戦争”じゃないなんて言うのは二枚舌だと思いました。
この作品では政府の人間が善人として描かれていますが、『バイス』のディック・チェイニーのような悪役だろうと、家族を想って温かい目で見守るシーンだけは、善人だろうと悪役だろうと共感できますね。
内部リンク
▽【「リンカーン 秘密の書」編】”大統領”に向けられた視線から読み解きたい「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」-新作に向けて”大統領映画”を鑑賞⑥
▽「クレイヴン・ザ・ハンター」 ネタバレあり感想と今後のSSUについて:悪くはないが…
▽ほぼ片面だけのジョーカー – 高校生と変わらない、コミュニケーションする日常(「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」や「ピーチガール」感想)
▽三幕構成をはじめとした基礎的なことから面白さを見つける方法と、作品をどう捉えたらいいのか、どう伝えればいいのかというプレッシャーを軽減できるかもしれない方法(スマホ向け改訂版)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません