日本の”ウィズアウト・リモース” – 大怪獣総攻撃

2024年3月17日

日本の”ウィズアウト・リモース” – 大怪獣総攻撃

どうも、ミドリユカリです。

恥ずかしながら、最近ようやく「クリード チャンプを継ぐ男」を鑑賞した。作品の面白さもさることながら、主演のマイケル・B・ジョーダンのセクシーさに惚れ惚れする。

そんな彼が主演を務める「ウィズアウト・リモース」という映画が、4月30日にAmazonプライムビデオで独占配信された。鑑賞した。淡々と進む作品であった。

こちらはトム・クランシー原作のアクションスリラー作品であるが、タイトルの意味は「容赦なく」という事らしい。

”容赦が無い”、といえば、私が最近見た作品でも一つ思い浮かぶものがある。

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃

2001年公開。

「ゴジラミレニアムシリーズ」の第3作目。公式サイトはコチラ

監督:金子修介

出演:新山千春、宇崎竜童、小林正寛、佐野史郎、南果歩、大和田伸也

あらすじ

1954年にゴジラが初めて出現してから半世紀。日本の防衛軍が倒したと思われていたゴジラがグアム島沖で目撃される。時を同じくして、日本各地で怪事件が相次ぐ。BSデジタルQのリポーター・立花由里は、事件の場所が『護国聖獣伝記』に記されている3体の聖獣バラゴン・モスラ・ギドラが眠る場所に一致していることに気づく。半世紀ぶりにゴジラが現れた理由とは?護国聖獣は、日本は、ゴジラを止められるのか?

平成ガメラ3部作を手掛けた金子修介監督作品とあって、当時から期待も高く、そして興行的にも評価も高かった、ゴジラミレニアムシリーズの傑作の一つ。

今回私が紹介したいのは、この作品においてとても印象深く、もの凄く”ウィズアウト・リモース”(容赦無く)襲い来る怪獣やその描写について、いくつか話させて頂きたい。

何度も襲いくる”容赦が無い”描写 – 大怪獣総攻撃 について

民宿に観光で来た篠原ともえ演じる女性客が、旅行先でゴジラという災難に遭遇するも一人だけ生き残り、静岡の病院に緊急搬送される。ストレッチャーで運ばれる最中、恐怖と混乱で泣き叫ぶ彼女。九死に一生を得るも、バラゴンと共にゴジラがふたたび現れる。ついこの間、自分にトラウマを植え付けた存在のその姿をまたしても目撃してしまい、パニック状態に陥る。叫ぶ姿が最早ホラー映画だし、左足に付いたギプスが天井から吊り下げられ固定されているせいで、ベッドから出る事も出来ない。というシチュエーションもホラー、というかスリラー映画的。そんな状況に最早笑う事しか出来ない彼女だったが、ゴジラは病院の横を通り過ぎて行った。助かった・・・と安堵したのも束の間、ゴジラの尻尾が病院に、しかも彼女が居るフロア目掛けて振り下ろされる。脆く無残に崩れていく病院から、容赦の無さを感じ取れる。

そんな風に”容赦の無い”描写が他にも沢山ある。

バラゴンを見て呑気に記念写真を撮る人達が、ふと見上げると、山の頂上からゴジラが顔を覗かせていて驚く、というシーンがある。ゴジラが山を崩して、落ちてきた岩や土砂に巻き込まれ潰されていく観光地の人々。逃げる前に記念写真なんて撮ろうとしたせいで死んだ、という事なら同情も薄れてこちらの受ける衝撃も少ないが、その後のシーンでは、そこから少し離れたドライブインにも落石が届いて大きな被害を受けている。分け隔てなく降り掛かるゴジラという災難に、またしても容赦の無さを感じる。

ゴジラとバラゴンの闘いを中継するレポーター達を乗せたテレビ局のヘリが、戦闘に巻き込まれ爆破してしまうシーンでは、主人公の由里が「死んだ・・・あのヘリに乗っていた人たち、死んだ。」と呟く。同時上映のハム太郎目的で見に来た小さい子供たちにはトラウマになったかもしれないセリフである。そういえばゴジラが初めて海から姿を現した時も、飛ばされたクルーザーが落下する中、窓に張り付いて叫ぶ船員のカットがあったが、そういう死に様ですら見せる作り手の姿勢も容赦無ぇ。

バラゴンを倒し東京へ進撃するゴジラ。それを止めるべく出撃した戦闘機も、放射熱線により全て撃ち落とされる。爆破した戦闘機の残骸が、山中にある一軒家に直撃する。ここで容赦の無さに拍車をかける演出が2つある。

1つ目は、その家の明かりがついている=中に誰か居る、と思わせる演出。後のシーンで街の人々が避難する場面があり、そこでは「防衛隊の補助の為、電気は点けたまま避難して下さい」というアナウンスが聞こえるが、このシーンの前に一軒家爆破がある為、電気がついているのはやはりまだ人が居る可能性が高い。

そして2つ目は、一軒家を映したシーンに切り替わった直後に家が潰されるのではない、というもの。他の場所に残骸が落ちていく様子と、灯りの点いた一軒家を一瞬でも見せる事で、「この家には落ちないでくれ・・・」という不安な気持ちにさせている。どうせぶつかるとわかっていても心配になる、というのはその映画の持つ魅力だし、しかしやっぱり壊れるというえげつなさ。

兎にも角にも、ゴジラが見える範囲に居る人々はほとんど死んでいくという、とんでもなく容赦ないシーンが豊富な怪獣映画である今作。子供の頃、映画館でリアルタイムで鑑賞した時には大して気にしていなかったが、今見るとその”怪獣”らしさに度肝を抜かれる。怖ぇって!(笑)

しかもこれ、後のゴジラの新作が公開されるタイミングで、地上波テレビで放送してた気がする・・・ゴールデンタイムとか夏休みのお昼とかに・・・。

”容赦の無さ”は過去のトラウマから

今回のゴジラは、戦争で死んでいった兵士達の英霊の集合体であり、日本人が戦争を忘れたからふたたび日本に現れたのでは、という設定がわりと序盤に出てくるので、一作目の『ゴジラ』と同じく戦争がテーマであるのがすぐにわかる。

それがわかりやすいシーンがもう一つ。

中盤。ゴジラが現れた御殿場から離れた場所にある小学校で、これから避難する事を教師が生徒に伝えている。窓越しに教室が映し出され、女性の教師が指示を出したあと突然、雷のような光が射す。直後、激しい揺れ。揺れは数秒で治まり、何事かと思い窓の向こうを見る教師。それまでは外から内側の教室を映していたカメラが、今度は内側から外側を映すショットへ。窓越しに見えたのは、きのこ雲。ゴジラの放射熱線により生まれたものだが、ゴジラが見えないほど遠く離れた教室からそれを見た教師は、思わずこう漏らす。

「原爆?」

今作で初めてゴジラが放射熱線を使う場面であるが、それを実際に口から放射される瞬間は見せず、光の明滅と振動で表現した演出の上手さにも感嘆とするが、それを見たキャラのセリフにもハッとさせられるという、いくつもの味が重なるシーンである。

子供も楽しめる気楽で明るいシーンも

そんな見ていて辛くなるシーンばかりかと言えばそうではなく、護国怪獣として活躍するギドラ達の特撮は良いし、ゴジラのしぶとさも熱いし、最後は特攻で終わらずちゃんと生きて帰還するとか、楽しめる場面も沢山ある。

特にツボにはまったのが、佐野史郎演じるBSテレビ局・デジタルQの門倉のセリフ。

東京へと向かうゴジラを単身追いかけて中継する由里。それを繋いでテレビ局から生放送しているデジタルQの面々。番組の司会であり由里に好意を寄せる丸尾の実況は熱が篭り、

「放送界のゴミだめBSデジタルQに咲く、清らかな一輪のユリ、エース立花由里が~」とまくし立てる。それを見た門倉が

「ゴミためは言い過ぎだろう」とツッコむシーン。佐野さんの絶妙な言い方と表情がめちゃめちゃ面白くて最高(笑)

それと、御殿場に現れたバラゴンを、移動中のゴンドラから目撃してしまった男女のシーン。

誰もが一度は想像し、ゾッとした経験があるであろう、ゴンドラやリフトに乗っている最中に事故に遭う、という悪夢的な場面。立ち上がったバラゴンにおののく男女。赤い怪獣の腕が不条理に振り下ろされ2人はゴンドラごと爆発、

・・・と思いきやバラゴンはすんなり通過。ゴンドラにぶつかる事なく通過。というか次のシーンをよく見ると、バラゴンとゴンドラとの距離が意外と遠くて、実はそれほど危険じゃなかったという。

「ゴンドラに乗っていたらバラゴンが出てきて驚いた」っていうだけなのか~~~い、と、拍子抜けしたシーンでツボにはまった(笑)




そんな感じで、明るく楽しめる余地もあるので、おすすめです!

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