映画「新 感染半島 ファイナル・ステージ」レビュー

2021年2月6日

皆さん、こんにちは。アヤノテツヒロです。

今回は映画「新感染 半島 ファイナルステージ」について記事を書きたいと思います。

公開データ

日本公開:2021年1月1日

監督:ヨン・サンホ

キャスト:カン・ドンウォン、イ・ジョンヒョン、イ・レ他

ちなみに原題は「半島」であり、「新 感染半島」は邦題。「新感染」の続編という部分を捨てきれないが、電車が舞台じゃないし・・・という苦肉の策なのかな?と思っちゃいましたね(笑)

「新 感染半島」は前作から4年後の韓国が舞台となっており、今回はかなりオープンな場所でのゾンビパニックとそれを巡る人々が描かれます。

ザックリ感想(まだネタバレなし)

まずは前提として前作がマジで最高すぎるのでそのハードルは難しすぎた…それだけ言っておきましょう。

全く別の作品というのも頭に入れておきましょう。同じ世界観の別の物語なのでそこはご注意ください。

その上でこちらの作品…そこそこに面白いゾンビ映画という感じなんですよ。正直に言うとね。

舞台が電車内から街中になったことで、ゾンビワールド+カーチェイスという要素に関しては迫力満載、かつスピーディに盛り上げてくれます。

半島中に広がるゾンビ祭りも迫力があるし、皆さんご指摘のマッドマックスっぽい生き残った人々のディストピア感な世界観、主人公サイドの子供たちのドライビングテクニックやラジコンを使った陽動も確かに面白い。のですが…という処から話を始めていきましょうか。

ここからはサラッとストーリーに沿いながら、どこが良かったのか、どこが気になったのかを見ていこうと思います。ここからネタバレが増えてきてラストまで書いていきます。ので、見ていない方は注意してください。

ゾンビまみれの世界:設定と世界観について

主人公:ジョンソクが半島から脱出しようとする、つまり本編の4年前のエピソードから始まります。

ここである一家を見逃したこと、そして脱出したはずの船で起きた感染パニックにより姉と甥を失ったことがジョンソクと義兄のチョルミンに暗い影を落とします…

で、気になった処。あの描写を見る限り、乗船してから結構経ってると思うんですけどゾンビ化ってあんなにかかるものでしたかね?仮に噛まれたのが足だとしても、もっと前に発症してるんじゃないかな…というツッコミ処から始まるのですが(まぁ、そんなに経ってなかったのかも知れないし抵抗力を持った人だったかもしれないと脳内補完しておきます)

で、4年後。半島を脱出した人々の立ち位置が分からないんですよね。韓国出身とバレると迫害される…まるで今の新型コロナウイルスのご時世を反映させるかのような差別的な言動をされているのは分かりますがそれだけ。隠して生活しているのか、どうやって生計を立てているのかもすべてぼんやりしています。

てか、金回収しようとした奴らって何者?あの外国人なに?という疑問もありますね(まあ、あいつこれで出番終わりだから良いんだけど)半島に到着早々に思ったのは車走りやす過ぎない?という疑問。まぁ、631部隊が整理した可能性が高いのですが、それにしてもそこは疑問に思わないのか?など彼らの行動にも疑問があったりするわけですよ。

で、こういうディストピアものというか、アポカリプスもの?と言うのかな?そういう系においてどうにも個人的に気になってしまうのが「食糧とか電気とか衛生面どうしてるの?」問題なんですけど、やっぱり気になりましたね~

4年間、ゾンビまみれの生活をしていた、文明はかなり崩壊してる中で食糧持つの?割と人数いたけど?とか割と恰幅良いのもいるじゃん?とかですね。あと、水とか電気とかライフラインどうなってんの?とかそんなに見た目もキレイでいれるかな?とかまぁ、気になっちゃうんですよねぇ~

少なくともワタシは記憶無いんですけど、一瞬発電機を映すとかでも良いんですけどそういう細かいディテール?というか生活が見えてこないとそこが気になっちゃいます。

あと、あのマッドマックスな部隊の皆様に女性があまりにも見えてこない。少なくとも主人公サイドの女性陣はいたわけなのでゼロではないはずなのに出てこないのは何故なのか?

こういう世界観では女性がひどい扱いを受けている可能性が高いのですが、それにしても全く画面に出てこないのは気になりましたね。

ジョンソクと家族の出会い:家族と兄弟の関係性

で、主人公サイドの話をしましょうか。

ジョンソクが出会った生き残った家族。

子供たち:ジュニのドライビングテクニックが凄まじいとかユジンちゃんのラジコンを使った囮も後半に活きてきたりするのでまぁ、面白いんですよ。

ただね、あのおじいさん:キムさん、活躍の場が欲しかったなと。

映画見た人は分かると思いますが、彼の行っていた無線が最後に活きるのは分かるんですがそこまでの活躍がゼロ過ぎて最後の見せ場が、死に様が感動しないんですよ。

というか、「家族でいれて良かった。地獄なんかじゃなかった」みたいな関係性が伝わってこないまま、死んだ上にセリフでそれを言わせちゃダメじゃないかい?セリフがストレート過ぎて冷める笑

王道コースみたいなお話だし、こういうお話は前作にもあったわけで、他の映画でもよくある展開なんですけど、この手の展開が目に、鼻につきまくりすぎました。

こう、なんでしょう…ここ泣き所ですよ~感が強いというか…

ゾンビと人間:迫力のアクションシーン

ゾンビ共、大量にいて恐ろしいしわんさか襲ってくる様は迫力満載。暗闇では動きが鈍いとか音に敏感という特性を活かして、ライトや音を囮にしたり敵を嵌める罠にしたりするのも面白いのですが、暗い場面がどうしても多くなってしまうのでそこは少し残念かなと。明るい場面での大量のゾンビ達というのも見たかったかな…

あと、レビューサイトで見かける意見としてゾンビの行動が物語の都合に良すぎるのも確かに気にならなくはない。

ソ大尉とかファン軍曹も敵キャラとして際立っているかと言われれば…関係性とか面白いし、彼らの存在感も良いのだけれどどこか物足りない。義理の兄:チョルミンが漢を見せた感じのドラマも弱い。

チョルミンを助けに行く流れはかっこいいし(あの状況で助けに行くの無理臭くない?とかは言わない)、人間に対する流れるようなアクションはお見事でございました。

主人公が元軍人ということで、銃撃戦やアクション描写は良いものが多いんですけど、人間ドラマ的な部分やゾンビ映画としての魅力が少し見えなくなってしまった気がします。

クライマックス:過剰なカーチェイスとスローモーション

その後のカーチェイスはハッキリCG満載で(あーCGだなぁって分かるレベルで)そこが気になる人は気になるかもしれません。個人的にはスピード感あって盛り上がったので面白かったかなと。

結構、ド派手なカーチェイスなので素直に面白く観れれば全然OKです。

で、敵を撒いたと思ったらソ大尉がラスボスみたいな感じで立ちはだかるんですよね。そこでの撃つか撃たれるかの場面、カットの切り替え多すぎない?とか撃つなら撃てよという変な間というか、カット盛りすぎ感が気になりました。

あとはクライマックスですね。母親が犠牲になって子供達を逃がそうとする場面、車のクラクション鳴らして囮になって逃げられないと死を覚悟したのにも関わらず、主人公の銃声で目覚めたらゾンビ倒して脱出出来るってどゆこと??

似たような展開かもしれないが、それなら主人公が囮になって母親を逃がそうとするのが良いよなぁ…映画としては。前作と同じような展開になってしまうし、敢えてやってるのかも知れないけどなんか出来すぎというかさぁ…

物語的にはハッピーエンドなんだけど、盛り上げ不足。というより、死にかけるのかと思ってからの主人公の後悔、そして救出劇とクライマックスが少々しつこい味付け

とまあ、ちょくちょく気になる場面が多くて盛り上がるカーチェイスとかアクションのスピード感が良くなった分、ドラマ要素が弱くなってしまった印象の映画でした。

普通に見る分には面白いのですが、高くなりすぎたハードルを越えるのは難しすぎましたね。

ちょっと文句じみた話が多かったのですが、素直にアクション映画としては見所も多いので良いと思います。

皆様もぜひ、劇場でご覧ください!!

映画「新 感染半島 ファイナル・ステージ」は劇場にて公開中!

では、今回はこの辺で!