映画 「そばかす」 ネタバレあり感想:めっちゃ良かった…

2022年12月19日

皆さん、こんにちは。アヤノテツヒロです。今回は映画 「そばかす」 の感想をとりあえず急ぎで書き残しておきたいと思います。

監督:玉田真也

キャスト:三浦透子、前田敦子、伊藤万里華、坂井真紀 など

あらすじ:昔から恋愛感情が分からないまま生きてきた蘇畑佳純。音楽の夢を諦めて、実家で暮らしていると母親からは結婚は?と迫られる日々。ある日無理やりセッティングされたお見合いで…

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映画 「そばかす」 感想①:お見合いと家族

冒頭、飲み会での好きな男性の仕草は?とかあざといよね~とかの会話。「こういうやついる~」というどこか居心地の悪いというか、気持ち悪さを感じつつ、我関せずで食べ飲みしてる佳純の佇まいからこの物語は始まります。

家に戻り、合コンの感想を聞かれる佳純。結婚を勧める口うるさいけど憎めない母親、ちょっと生意気そうな感じの妹、うつ病らしい父親、ちょっとファンキーっぽい祖母との家族の会話劇はホントの家族のようで、見ていてクスッとしたりしました。

母親に連れていかれたお見合い、家族とのテンポの良い会話劇からのシーンとしたお互いに話すことのない感じがちょっと笑えました笑

そのお見合い相手のラーメン屋の店主、彼もまた恋愛とか興味ないと言っており、2人は友達となります。

深夜のラーメン屋で話してる雰囲気が心地よいですし、湯切りを教えてもらうとか楽しそうだなと思いつつ、佳純の心情を分かってみてる側としては、いつかは終わってしまいそうな予感で少し哀しさというか切なさを覚えました。

遠出した夜、ホテルで部屋飲みにきた彼に対し、「これは…」と困ってる佳純の感じが居たたまれないな~と感じましたね。

そこで好きになったと迫る彼に、正直に自分は恋愛感情とか性的な関心がないと言うが、彼には理解されない。

言っても理解されないからと諦めたように生きていくしかない佳純の表情が切ないですね。

そんな折に、昔馴染みの八代くんの紹介で、コールセンターから保育園?へと転職した佳純。

子供たちにも恋愛の渦が巻き起こっており、子供たちの恋愛模様はどこか微笑ましい。

そんな保育園での日々で、八代から「自分はゲイなんだ」と告白される佳純。サラっと受け入れている感じが良いとも思ったし、「生きていると恋愛とかからは逃れられないんだよな」というセリフから彼がしてきた苦労や葛藤が見てとれる。

妹との昔話を交えた微笑ましい会話の中にも「お姉ちゃんこれからどうするの?」とグサッと来たりする場面があったり、父親と離れで話している時にホッと安心したりもして、佳純とそれぞれの人との会話劇がこの映画の良さでしたね。

映画 「そばかす」 感想②:友達と自分

海で再会した中学時代の友人、世永さんもめっちゃ良い!そのままの流れでキャンプに行くことになるのだが、中学時代そこまで親しくなかった2人だからこその今の関係が出来上がっていくのが良いし、夜中に岩辺で佇む世永さんの物憂げな感じとそこを突っつかない佳純の感じが良かった。

苗字呼びだったのが、名前呼びに変わってるのも良い!保育園でシンデレラのデジタル紙芝居を作ることになるのだが、改めてシンデレラという物語の男性性な視点をバシッと言ってくる世永さん。2人で作るデジタル紙芝居、劇中のセリフにあるように文化祭っぽくて微笑ましい。

保育園で披露することになるのだが、親御さんや政治家で選挙に立候補しようとしてる世永さんのお父さんに物議を唱えられることに…(他の先生に内容確認してもらったりしてたのかな?とは思ったが)

父親に否定されたことに憤り(ホントに当たり前ってなんだよ)怒りをぶつけにいく世永さんがめっちゃカッコ良かった!!(YouTubeに本編映像が公式で出てるので見てほしい!)

そこから2人は一緒に住むことになるものの、世永さんは東京にいた頃の彼氏と結婚することに

その後の夕食の場面、妹の旦那の浮気疑惑や妹の姉に対する発言など、不穏な空気が流れたりもしたが、佳純が自分の抱えていた想いをぶつける大切なシーンだ(その後、妹とどうなったのかは気になったが)

世永さんの結婚式で、チェロを弾き、そこでチェロをキッパリ止めることにした佳純。父親も仕事を変えようと決心する場面で、祖母、父、佳純が膝を立てて朝ごはんを食べるシーンはなんか可笑しくて心地よい。

最後に登場した新たな保育園の先生、彼の一言、「同じように考えてる人がいるなら、それで生きていけるな」って思えること、ホントに素晴らしく大切なことだし、ムリに合わせる必要も理解してもらう必要もない、自分らしく生きていこう、そう思えるラストの蘇畑さんの表情とカメラの疾走感が心地よくて気持ち良く劇場を後にしました。

佳純のように、恋愛感情がない、性的関心がない人の事を「アロマンティック」「アセクシュアル」と呼ぶそうで、自分の身近で出会ったことがある人にもそういった方がいたので、自分としてはすんなり受け止められましたが、まだまだ理解されづらいそうです。

劇中では敢えてそういう言葉を使わず、枠にはめず、あくまでも蘇畑佳純という一人の女性にフォーカスしてるのが良いですよね。

重たいドラマにもなりかねないですが、時にクスリと笑ったりとライトな空気感と多様性というテーマ、そこを越えた肯定感溢れる映画体験、素晴らしかったです。

今年、最後にこの映画に出会えて良かった。

では