「ザ・メニュー」 ネタバレあり感想:ブラックコメディって分かんない
皆さん、こんにちは。アヤノテツヒロです。今回このブログで書いていく作品は 「ザ・メニュー」 です。
「ザ・メニュー」 概要
監督:マーク・マイロッド
キャスト:レイフ・ファインズ、アニャ・テイラー・ジョイ 他
あらすじ:孤島にあるレストランにやってきた、マーゴとタイラーのカップル。他にも料理評論家や俳優…招かれたゲストたち。レストランのオーナー:スローヴィグが提供する料理の数々と徐々に漂う不穏な空気。そしてオーナーシェフの秘めた計画が明らかになっていく…
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「ザ・メニュー」 感想:中心である2人の演技に感動するも展開に?も多いか
なんか…よく分からん映画だった。
端的に言えば、とち狂ったシェフのめたくそに迷惑な最後のフルコースに邪魔をしてきたお客たちと自分を慕う従業員たちを巻き込んだ壮大なメニューづくりとでも言えば良いだろうか??
と思ってしまうのが正直な感想でパンフレットや他の人のレビューで掘り進めないとなかなか難しい映画とも言えると思います。
冒頭からそれぞれの客たちには不審感があったり、主人公と言えるマーゴと彼の関係性にも?があったりと不穏な空気はレストランに入る前から漂っており、オーナーシェフが現れてからそれはより不穏さを増していきます。
2品目が出るまでは少し退屈な空気もあったが、副料理長の自殺から一気に引き込まれていきました。
2品目のパンが出てこない辺りに対して、バカにされていると起こるマーゴと「変わった趣向で良いね」なんて語る対して分かっても無い他の客たちという風に、評価する側であるように振舞っている愚かな人々を皮肉ったような描写など、ブラックコメディとして見るのが正解なのだろうが、この線引きはなかなか難しい。
初めは計画外の異分子だったマーゴとシェフが与える者、奉仕する者と奪う者との立場で話す会話などは興味深かったし、彼が知っていた上でマーゴを同行させたという胸くそ展開やそれぞれの客が呼ばれた理由もなんとなく明らかになっていく…
オーナーシェフを演じるレイフ・ファインズ。名優として名高い彼が本作で演じたスローヴィグというキャラクターは一見すると、冒頭に書いたようにとち狂った明らかな異常者とも見られないキャラクターだ。だが、カリスマシェフとしての威厳ある佇まいと尊敬されるであろう振る舞い。パンっ手を叩いて繰り広げられる彼が語る話は思わず耳を傾けてしまい、行動も全て共感できるわけではないだろうが、断片的な過去の描写と彼の表情が物語る彼を変えてしまった様々な要素、それは痛みか、悲しみか、怒りか、後悔か…それが彼のこの異常な行動に説得力を持たせていく。レイフ・ファインズの存在感があってこそだなと思った。
彼に相対するマーゴを演じるアニャ・テイラー・ジョイ。彼女を始めてみたのはM・ナイト・シャマラン監督の「スプリット」でした。可愛らしい佇まいに芯のある強さが漂う存在感でその頃からさらに進化を遂げた彼女の存在感と活躍は皆様、ご存じの通り。「クイーンズ・ギャンビット」「ラストナイト・イン・ソーホー」と活躍を見せた彼女が今回演じるマーゴという女性は、スローヴィグにとっては想定外の客でありながらも、どこか共感しあうキャラクターであり、スローヴィグと対立してくキャラクターでもある。全く理不尽かつ不可解な状況でありながらも、自分の意思を貫き抗う姿が勇ましくこちらもホントに素晴らしい。
また、タイラーの存在も忘れてはいけないですね。今回呼ばれた客の中でただ一人、スローヴィグの計画に加担していた男であり、グルメに無駄に五月蠅いわりにマナーを無視して写真を撮ったりするなど「いる!いる!」という軽薄さを見事に体現していますよね。彼がスローヴィグから評価されてコックになってからの実際に料理を作らせるとグダグダのダメダメっぷりを見せる展開、色々語るわりには実際にやってみると何にもできないとう展開は、何らかの作品(今回は料理だけど、映画や音楽、絵画など全てにおいて)に評価を付けていた人たちを皮肉ってガクブルさせる展開であり、評価され、傷づいた人にとっては「まったくその通りだ!」と胸をすく展開とも言えますよね。
後半にかけて、物語として引き込まれていったし、どうなるのかハラハラしながら見守っていたが、呼ばれた理由がよく分からんかったり、全然抗おうとしないのは違和感がある。
パンフレットを読んで少し客たちの素性を理解したので、ある程度は納得できるが、落ち目の俳優やレストラン来たのに料理覚えてないとかはもはや理不尽にもほどがないか?
あとは、抵抗が少ないのも気になる。この状況を批評家たちや作中で言われる奪う者たちへの皮肉を込めたブラックコメディとして見るというのはアリだが、この状況をリアルに考えるとレストランに来た客たちの抵抗が少ない。弱みを握られているにしても殺されるよりは生き残った方が良いだろうし、あいつら全員を倒せばいいだけなのに…と思ったのも正直かなと。
スローヴィグにあそこまでついていくスタッフも謎と言えば謎です。確かにスローヴィグのカリスマ性は見事だとは思いましたが…
マーゴにシェフはどうしたかったのかも謎で、腑に落ちないというかよく分からんかった。
確かにマーゴはスローヴィグの料理人としての原典に立ち戻らせる振る舞いをした。マーゴはチーズバーガーをオーダーし、そのオーダーに答えてスローヴィグは本気でチーズバーガーを作り、マーゴはそれに満足する…。その健全な関係性が失われていた彼の想いを蘇らせた展開なのは理解できるのだが、それまでに気になる部分が多すぎて…
ハラハラドキドキ引き込まれたのでそれを楽しめる映画としてはオッケーなんですけど…引っ掛かりも多い印象で、見ごたえはあったけど、どこかモヤモヤも…???
こんな感想ですが、皆さんの感想もぜひ教えてもらえたら嬉しいです。
では、また。
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