MCUのドラマ化について~ワンダヴィジョン最終回を終えて

こんにちは、ミドリユカリです。

マーベル・スタジオ製作による、マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)シリーズとしては初のドラマシリーズ「ワンダヴィジョン」が、3月5日配信の第9話で最終回を迎えました。

シットコム形式で始まったり、映画さながらのVFXがあったりと、様々な要素で視覚的に楽しませてくれました。それだけでなく、ワンダのオリジン的エピソードや、これからのMCUにも関わるキャラクターの登場など、ユニバースの楽しみが広がるストーリーも充実してましたね。


世間的にはもうほとんど”ユニバースもの”が浸透しましたね。「映画のドラマ化」「MCUはドラマっぽい」という意見や批判も懐かしいぐらい。それを受けてかどうか、元からこうなるのを望んでいたのか、はたまた自然とそうなったのか、MCUは文字通りドラマ化しました。

サブスクの浸透により映画もスマホで気軽に見れる便利なこのご時世。MCU作品もサクッと見れちゃう嬉しい時代。それゆえに連ドラを見る感覚で、週に1度シリーズ関連作を見ることもあります。そうやって続けて見ていく内に、このシリーズは本当にドラマ向きだなと感じていました。スタジオもその流れを意識しているのは、ドラマを手掛けた経験のあるスタッフや監督を起用していることからもわかります。

(ちなみにディズニーデラックスやディズニープラスが始まる前はフィジカルと有料配信・レンタルのみ。ただしHuluなどは新作公開に合わせ期間限定でサブスク配信していました。その期間、ここぞとばかりに見まくっていましたね。。。)

マーベルスタジオは”映画シリーズ”を”ドラマ”というフォーマットを使って物語を見せる事に着手し始めました。※

あくまでスピンオフ的に、ミニシリーズとして作ることによって、海外ドラマにありがちな無駄な引き延ばしやグダグダな展開も無い。ドラマで経験を重ねたスタッフを映画に引っ張ってきて、その積み重ねをドラマへと落とし込む、そんな製作サイクルを新たに生み出すことにも挑戦している。更に、映画としては難しいけど、ドラマとして作るにはうってつけのキャラクターを無数に抱えているマーベルにとってはこれほどハマるフォーマットは無いのではないでしょうか。

ただしそれは、重要な部分を次作の映画に放り投げたり、下手すれば見るものを飽きさせる引き延ばしになりかねない危険も孕んだやり方でもありそうだと、感じています。実際、ワンダのオリジンを描きつつそのパワーの源をほとんど明言せず終わっているのは、1シーズン限定のシリーズの割に消化不良となるエンディングでもありました。まあ、海外ドラマファンはそういうクリフハンガーに慣れているんですけどね。。。笑

ドラマに出てきたキャラが映画で集まるといえば、MCUはある意味「平成ライダー」になったという言い方も私にはしっくりきます。わかるようでわからないようなって感じだと思いますが(笑)、毎年誰かと誰かがコラボして、数年に一度は全員が集合するっていう流れが同じだなと思います。

思えばワンダヴィジョンも実は、主人公の中に別の力強い存在、もしくは別人格が同居している事が示唆される展開となっていたのも、日本の「寄生獣」とか「遊戯王」もちょっと連想しますね。

TBSラジオ「アフター6ジャンクション」のSpotify限定コンテンツ・別冊アフター6ジャンクション#44で少し触れられていますが、最近流行っている「チェンソーマン」「呪術廻戦」は「寄生獣」、いやもっと言えば「デビルマン」だ、っていう話がありました。この話をするに至る経緯もリスナーとして面白いエピソードなんですが(笑)、確かにそういうのは「デビルマン」だよなぁと感じるようになったし、それを踏まえたら「ワンダヴィジョン」もその系譜に思えてきました。

更に近年のマーベルは、セリフやタイトルでやたらと”マルチバース”を匂わせていますが、これも日本のとある潮流と類似している事にも気づきました。マルチバースとは、キャラクターが存在する世界とは別の次元に、似て非なる世界が複数存在している事。もし〇〇が起こらなかったら?もし〇〇が生きていたら?っていうもしもの話が存在するのがマルチバースで、パラレルワールドと呼ばれていたりするあの設定ですが、これは”異世界転生”モノにとても似ている、と思いました。

きっとファイギ社長はどこかのタイミングで日本の”異世界転生”モノの作品に触れ、「凄い!マルチバースだ!」と思ってMCUにマルチバース設定を盛り込んだのではないかと思っています。なんなら、ファイギ社長は一度事故に遭って”異世界転生”し実際にアベンジャーズが存在する世界線を生きた後に元居た世界に戻り、その”経験”を基に映画を作っていったのではないか。とも予想していた時期もあったような気がします。

MCU作品を制作しているマーベル・スタジオ。それらを表舞台でけん引しているケビン・ファイギ社長は、ユニバースのドラマ化についてどういった思惑があるのでしょうか。

3月19日より配信が開始された新たなMCUドラマシリーズ「ファルコン&ウィンターソルジャー」では、キャプテン・アメリカ不在の世界における”象徴=シンボル”、”正義とは何か”についてを問う内容となっています。話題の中心となる人物が不在のままストーリーが進行するこの展開も、「桐島、部活やめるってよ」を彷彿とさせる事から、やはりファイギ社長は日本のカルチャーを参考にしているといっても過言ではないかもしれません。

もしくは、この記事全部が過言だったかもしれません。。。。。。


※シールドやデアデビル等はマーベル・テレビジョン製作。なのでマーベルスタジオ製作のドラマとしては「ワンダヴィジョン」が初めて。